佐竹参考人に対する意見聴取‐七

(吉田委員)

 ありがとうございました。参考人が示された予想に、今私大変戦慄しております。米田参考人、佐竹参考人いずれにおきましても、「摩耗」再出現に関して、不都合な真実を隠すことなくご説明頂いたと思います。

 ところで、佐竹参考人がただいまお示しになった予想は非常にリアルで、国会議員として戦慄を覚える内容でございましたけれども、かかる予想は在職当時に関係機関において試算をお命じになって得られた内容でしょうか。

 お答え下さい。


(佐竹参考人)

 ただいま申し上げた予想につきましては、委員ご指摘のような公的機関による予想などではなく、「摩耗」再出現によって発生するであろう最悪の事態を私個人として予想し答えたものです。

 大変に衝撃的な内容になるであろうことは、福島第一原子力発電所事故及び先の摩耗核惨事の帰趨きすうからも明らかでありまして、殊更に不安を煽るために申し上げたものではございません。しかし一方で、かかる予想は過酷事故についてある程度の知識がございましたら、誰しも可能な予測なのでありまして、隠し立てするほどのものでもございません。

 もし「摩耗」が再出現するなどと口走ったが最後、大変な混乱をもたらすことは容易に想像できることなのであります。一国の政治に責任を持つ立場であれば尚更です。


(吉田委員)

 では参考人は在職当時から、「摩耗」再出現に際してこのような事態が起こり得ると予想していた、ということでしょうか。


(佐竹参考人)

 誤解がないように申し上げますけれども、こういった破滅的な事態を予測することが、即座に「摩耗」の再出現性を認めることには当たらない、とご理解いただきたいと思います。


(吉田委員)

 しかしそういった予想をされるということは、少なくとも在職当時から既に、「摩耗」の再出現性に関してある程度の危惧を抱かれていたという証拠なのではないですか。

 お答え下さい。


(佐竹参考人)

 危惧は、自国の安全保障に責任を持つ者として当然抱きます。考えられるリスクについては検討を加えるべきであるからです。

 ですから、その一環として「摩耗」再出現の可能性を広く外部に明らかにするリスクについても当然考慮して再出現性を否定する談話を発表いたしました。


(吉田委員)

 一国の総理として再出現性を否定する談話を発表したからといって、それが実際に「摩耗」が再出現しないという保障にはなり得ません。参考人は、「摩耗」再出現に関して、実際のところどの程度の危惧を抱いているのか、またその危惧には何か根拠があるのか。これについてお答え下さい。


(佐竹参考人)

 再出現性に関する危惧は国政に責任を持つ者として一般論的に抱いた危惧でありまして、具体的にある事象を以て「摩耗」の再出現に危惧を抱いた、ということはございません。


(吉田委員)

 それではテレビをご覧の皆様も非常にこれは気になるないようだと思いますので、次の質問にははっきり答えてください。

 参考人は総理在職当時、「摩耗」は再び出現するとお考えでしたか。そういったことは有り得ないとお考えでしたか。

 お答え下さい。

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