第15話 運命のいたずら
謙信が、春日山城を経って三日後の事……。
留守居役の
「伊勢姫様……青龍寺に姫様の弟君・
ふくが伊勢に伝える。
「なぜ、春日山城ではなく青龍寺なのですか?」
「父上の
「それにしても……父上からの
伊勢とふくは急いで弟・
そこに、
「
ふくが影家に問いただす。
「ふく殿……
「なんですと……。では、なぜ我らをここへ呼び寄せたのですか」
「恐れながら……伊勢姫様には、本日……この場で
「なにを言っておられるのです。姫様は謙信殿と
「それでは、弟君の
「謙信殿はこのような事をお許しになりませんぞ」
ふくは大きな声で影家に申し立てる。
「伊勢姫。……謙信殿には、関白・
影家は、背を正し……伊勢にひれ伏した。
「伊勢殿……後生ですから……謙信様の事を本当に思っておられるのなら……この場で剃髪してください」
伊勢の目から……大粒の涙が溢れ出す。
「もし……わたくしが嫌と申したのなら……」
「直胤殿のお命・頂戴いたします」
「なんと……理不尽な……。影家殿……姫様のお気持ちや謙信殿のお気持ちを踏みにじって、そのような事が……許されるはずがありませんぞ」
ふくが影家に怒鳴り声をあげる。
「ふく殿……そなたが伊勢姫を思うように……私も謙信様を思い、事を起こしたのです」
溢れ出す涙をぐっとこらえながら……伊勢は影家に問いただす。
「影家殿……わたくしが、謙信様と
「そうです。 伊勢姫……あなたのお心だけでは、殿の助けにはならないのです。あなたは敵国である降将の娘。あなたのような娘を寵妃にするということは、傾国の元。 今までのことは、殿の気まぐれ……一寸の夢と思ってください。殿もすぐに夢から覚めて、あなたのことなど忘れてしまうでしょう」
「……なんとおいたわしい。影家殿!……ふくは……ふくは……そなたを
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