最終話

 めいせんそうしている〈研究所〉内では逐次計算が遂行されていた。五次元宇宙内の人工惑星の自転時間が十三時間ならばちらの宇宙から宇宙間弾道弾を発射するのにおよそ三十分の余裕がある。けんけんごうごうたる〈研究所〉はJAXAのミサイル・サイロ側とれんらくしながら宇宙間弾道弾の発射準備を進捗させてゆく。つつがくエントロピー飽和弾頭がそうてんされた。いんの弾頭を五次元宇宙内で爆発させれば五次元宇宙は崩壊する。JAXA側とのれんらくえんさくほうぜいを生じるようになった。やらJAXA側にも四次元立方体戦闘機が攻撃をくわえJAXA職員が狂死していっているらしい。生存した職員だけでは宇宙間弾道弾を発射できるりようがない。同時に〈研究所〉内に絶望的なるほうこうめいた。ひとりの所員だ。〈五次元宇宙内の人工惑星の自転速度計算に誤差発生ちらの宇宙間弾道弾の発射に九秒たりません〉と。ひつきよう九秒の誤差で五次元宇宙側から一歩先に第二の宇宙間弾道弾が発射されるというのだ。ゆうにおわらずに実際二次元宇宙とのれんらくが破綻しかかっておりドラえもんの〈ひらりマント〉も二回目はつかえない。そもそも時間があったとしてやってちらから宇宙間弾道弾を発射させればよいのか。五次元宇宙内からの宇宙間弾道弾発射までのこり十秒――。えいごう不滅の神様にとうせんとした刹那〈どこでもドア〉からほうちやくしたの学生服の不良少年がさけんだ。〈スタープラチナ・ザ・ワールド〉と。漆黒の学生服の不良少年こと空条承太郎を中枢として四次元宇宙のみならず五次元宇宙内まで〈時間がとまった〉。〈ザ・ワールド〉で停止できる時間は九秒前後だ。あとは宇宙間弾道弾さえ発射できれば――。である。JAXAのミサイル・サイロにひとりのひとかげが登場した。ぞうなる画素数の中継映像越しにする。〈駄目だエントロピー飽和弾頭と一緒に爆発したら永遠に再現できなくなる〉と。しゆんぷうたいとうたる子供のようなひとかげは中継映像越しに微笑して宇宙間弾道弾を抱擁し両脚からジェットを噴射した。人類は勝った。宇宙間弾道弾は停止した時間のなかで五次元宇宙へとこうしようしてゆく。いんの映像をりゆうらんしながらほうふつとした。〈西暦一九六六年のおおみそあのとき十二歳だった〉と。

 鉄腕アトムはふりかえっていう。

〈ああ地球だ地球はれいだな〉と。


〈了〉

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