蕀の夢

何に傷ついているというのだ

そんなにも鮮やかな血を滴らせ

痛みに咲き乱れる薔薇よ


柔らかな心に突き刺さる

幾万もの棘を身に纏いながら

何故そんなにも傷ついているのか


痛みに匂い立つ芳しい薔薇よ

涙の花弁を散らしながら

艶やかに咲き誇る薔薇よ


夜闇の中でなおも馨る傷口は

憂鬱な夢を嫌うかのように

私の心を惑わせる


その滴る血潮に染まる夢を

そっと忍ばせる芳香に

ざわめく思いを弄ぶ


薔薇、激しい恋傷に宿る

美しく猛々しい蕀よ


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