濤声

寄せては返し

寄せては返す

波頭は白く 想いも白く

体の底に響く濤声

すべてを噛み砕いていく

海底みなそこへと呑み込んでいく


甘ったれた泣き言も

偽っていた思いも

暴力的に破壊していく

波の営みの底知れなさに


立ち尽くす私に

吹き付ける海風は荒く

水平線の奥からうねり来る

波頭は嘲りの牙を剥く

叩きつけるような濤声に

みちみちと満たされ溺れる思考


打ち砕かれる

薄っぺらな自尊心


寄せては返し

寄せては返す

波頭は白く 想いも白く

未だ脱せぬ愚かな私に

暗く深く響く濤声

還る場所へと導くように


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