「転生なんてしたくなかった!」と、思っていたのだが…
せーくん/ぬこ様
第一章 幼年期編
第1話 プロローグ
異世界
誰もが一度は夢見る現実とは異なる世界
剣術が尊ばれ、魔法が存在する世界
あるものは現実とは違う世界観を求め、またあるものは異種族とイチャコラしてみたいという希望を持っている
いろんな願いが叶うそんな世界
それが異世界である
だが、俺はそんなものはどうでもいいと思っている
たしかに魔法が使えれば便利だろう。
だが、魔法とは現実世界で言うところの科学に値するものであり、科学が無くなれば当然、一番身近な電気が無くなることになる。
カミナリという、電力はあるかもしれないが、大事なのは電気があるかどうかじゃない。利用出来るかどうかだ。
科学が無くなるということは、照明やテレビはもちろん、スマホやパソコンもないだろう。そうなれば、みんなが大好きなゲームやチャットも出来ない。
あれは科学の進歩の賜物だからな。
他にも掃除は掃除機、洗濯は洗濯機、料理も電子レンジやオーブンが必要であるなど、現代日本において科学の喪失ということは、考えられないものなのである。
まぁ、魔法がどれだけ万能か、にもよるが。
だからそんなありもしないものへ向ける時間ややる気があるのなら、他の事に回せ、職に就いて働け、と言いたい。
現実逃避しているんじゃないよまったく。
あぁ、自己紹介が遅れたな。
俺の名前は咲夜だ。
十六夜じゃないぞ。小鳥遊だ。小鳥遊 咲夜だ。
何故小鳥が遊んでいると書いて「たかなし」と読むのか。
先人の考えることはよく分からない。
これでも高校三年生だ。
テストの成績は常に首席。野球もしていて、四番でピッチャーだ。自分で言うのもなんだが優等生だ。彼女もいる。しかもメチャ可愛い。
俺の彼女の望月 乃愛。
中学校のときに一目惚れしてソッコーでコクった。
頭も悪くないし、料理研究会の部長で料理もメチャ上手い。しかも俺にゾッコンだ。
さっき科学がどうのこうのと言っていたが、こっちのリアルがこれ以上ないほど充実しているので反対したのもある。
俺にとってはこれが初恋なのだ。人生で未だかつてないほどの緊張というものに直面している。
今日もこれから彼女とデートだ。今流行りの恋愛映画を観る予定なんだよ。
たしか、「youの名は」だったっけ?
お、噂をすれば来たな。彼女だ。
三十分前だというのに早いな。
まぁ、俺は二時間前からだが。
「おーい!乃愛!」
「あっ!さっくーん!お待たせーっ!」
おいおい、いくら反対車線だからって慌ててくることないだろうに。可愛いやつめ。
横断歩道を渡る時には右見て、左見て、右見て安全確認だろ......って、お、おいおい!赤信号だってのにトラックが猛スピードでこっちに来てやがる!
「馬鹿っ! 乃愛! 右だ! 右!」
「えっ? きゃああぁぁぁぁぁ!!!」
ダメだ、足がすくんでる! 乃愛っ、乃愛が轢かれちまう!
その瞬間、まわりがゆっくりに見えた。
気付くと俺は乃愛を抱きしめていた。
うん、ダメだな。間に合いそうにないや。もうすぐ隣りにトラック来てるし。
そんなことより乃愛だ。馬鹿だな俺。
なんで抱きしめてんだよ。普通こういうのって突き飛ばすだろ。これじゃ心中じゃん。
まぁ、乃愛を失ったまま生きてくのもツライしな。死ぬ時はいっしょだよっ!ってか。
あ〜あ、まだやりたいことたくさんあったのになぁ。
乃愛とだってまだキスまでしかしてないし。
初めてのキスの時も、耳まで真っ赤にしててさぁ。可愛いかったなぁ~。
手ぇつなぐだけで照れちゃってさぁ。
父さんも母さんも大丈夫かなぁ。まだ親孝行とかしてないし。今はアレだけど、小さい頃はよく迷惑かけたしなぁ。
葬式では泣くんだろうか。泣くんだろうなぁ。母さんは特に。父さんも厳しかったけど一人息子がし死ぬんだしなぁ。
なにを考えてんだろ。昔のこととか思い出してさぁ。走馬灯ってヤツかな?
まぁ、最期には乃愛と居られたんだしな。
悔やんでも今更だよなぁ。
怖いなぁ。死後の世界とかあるんだろうか?
乃愛と一緒に居たいなぁ。
名残惜しいけど、そろそろだよなぁ。
みんなさようなら......
......アレ?ちょっと長すぎない?
途中から怖くて目閉じてたけど、流石に少しは痛みとかあるだろ。
流石に死ぬのとかは知らんけど。
どうなったんだろ。目、開けてみるか。
......あれ。
ここはどこだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます