モブは最強である

明鏡 をぼろ

モブ人生一年目〜

第1話

 「ふぁ~。もう五時か。」

 ふと時計を見て、思う。

 「寝るか」

 アラームは鳴ったまま。 


 「ふぁ~。7時か」

 本日二回目のアラームを止めた俺は学校へ行く準備を始めた。


 朝ごはんを食べ、学校へ行き、授業を受け、給食を食べ、午後の授業を受け、日々学生として生活をおくっていた。


 歩いて5~10分ところにある高校は遠くもなく近くもない、平凡な高校だ。


 教室での席はいつも後ろの方。

友達も数人しかおらず、委員会にも、部活にも入っておらず、勉強もスポーツも実力は真ん中以下。


 そんなアニメでいうモブみたいな人生を送っていた俺は、そんな人生とわかっていながらもこの人生に満足していた。なぜかは俺もわからない。

 ちなみに今はパソコンで大切な作業をしている。


窓ガラスが割れる。

 一応強化ガラスにしてあるので。これを壊せるといったらあいつらぐらいしかいない。

 「来たか」

 後ろを見るとそこには大きな一つ目の火の玉が。火の神の眷属、ボイヤーだ。


 大きさは1メートル小さいものの、口から出る火の玉は高威力。それにこいつらは集団で襲ってくる。決して侮れない敵だ。

 しかし、そんなことは既に分かっていた。この超最先端魔力式高性能パソコンmppマジックパワーパーソナルコンピューターでこいつらの位置は把握していたのだ。


 「お前らが来ることぐらいお見通しさ!」

 魔法陣を書き、血を落とす。


「水の眷属けんぞく レディアよ。我に力を貸したまえ!」

 魔法陣から身長175㎝くらいの女性が出てくる。青い髪は足まであり、透き通っていてきれいだ。そして整った顔は美しく、顔からは優しさが感じられる。


 「レディアちゃんいくよ!アズム!」

 俺の手から発せられた水の玉は見事ボイヤー達に直撃し、消滅していくボイヤー達。所詮雑魚キャラだ。一分もいらない。ふはははは


 「レディアちゃんありがとう。帰っていいよ」


本当ならもう少し、いや永遠に家にいてほしいが、彼女にも帰る場所がある。また今度にしよう。俺はレディアちゃんが見えなくなるまで手を振った後、割れたガラスを魔法で戻し、またパソコンへと目を移す。

 今回の討伐の成果が書かれている。 

  これが、俺の仕事。



 ま、なんてことはもちろんなくて、ただの妄想。でも自分はちゃんと動いているか落下中、半分妄想ってところ。

 読者のみなさん、お気ずきであろうが私はただの痛い子。 


 しかしこれは今に始まった話ではなく、俺には幼いころから空想が好きだった。

 内容は、基本的に自分が輝いている姿。

 スポーツ万能な自分、勉強に関しては肩を並べる者はいない自分、女子に優しく、モテモテな自分等を、いつもも想像してはニヤけていた。


 自分で考えてみると悲しくなるくらい現実の俺とはかけはなれているのだが、そうやってしている間はとっても幸せだった。

 う、やっぱこれキモいな。

まあ、楽しいからいっか。


 今日も楽しくニート生活が始まった。

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