第45話 3節 重力波の衝撃(6)

「あー、わかった。ホルスが戦艦部隊に攻撃命令を出したんだ」

ヒロが千里眼で見たこと聞いたことを説明すると、ジリュウの中にいるマリが心配する。

「チイ星の戦艦がトイ星を攻撃すると、トイ星はどうなっちゃうの?」


「よーし、影宇宙から出ないで戦艦部隊の後を追ってみよう」

ケンは戦艦部隊がどんな攻撃をするのか知りたかった。

「いや、先回りしてトイ星の様子を見ようよ。タリュウ、急いでトイ星に行っておくれ」

ヒロの指示に従って、タリュウが時間を遡りながらトイ星に向かうと、ジリュウ、サブリュウ、シリュウが後に続いた。


「おー、近くで見るとトイ星は人が住めるようには見えないなあ」

ロンが千里眼でトイ星の開拓状況を詳しく見ようとしている。

「でも、カプセルみたいな住居と道路みたいなものが見えるよ」

ミウも千里眼で、トイ星を開拓中の住民達を見つけようとする。


その頃、トイ星のヌトとアテンは、チイの戦艦部隊がトイ星に向かって出撃したことを把握した。すぐさまヌトはトイ星の住民達をシェルターに避難させる。

ヌト達は、チイ星のホルスがトイ星を攻撃してくる事態に備えて、避難用のシェルターを造っていたのだ。


「うわー、チイ星の戦艦部隊が長距離ミサイルを発射したぞー」

ケンが叫んだ。その直後、ミサイルがトイ星のシェルターを直撃した。

「きゃあ、シェルターが吹っ飛んだー。トイ星の住民が死んじゃうよー」

マリが泣き声をあげる。


ミサイルに直撃されたトイ星が、一瞬静かになった。

そして、地下から武装したロボットのような集団が地上に出てきた。

人工知能を備えたロボット達とトイ星に住み着いていたチイ人達は、チイ人がトイの住民を支配するのを阻止しようとロボット軍団を組織していたのだ。


アテンは、地上に現れたロボット軍団の戦闘ロケット部隊に出撃命令を下した。

戦闘ロケットには人工知能が装備されていて、チイの戦艦部隊より高性能だ。

直ちに、トイ星の司令部から不可思議なレーザー光が発射され、チイ星の戦艦部隊の目前に無数の戦闘ロケットが出現する。


チイ星の戦艦は、戦艦ヤマトのような形をした巨大な宇宙戦艦。

一方、トイ星の戦闘ロケットは、ライオンのような動物の形をした小型の宇宙ロケットだ。

チイ星の巨大な戦艦を小型のライオン形ロケットが包囲して、強烈なレーザー光で攻撃する。


チイ星の戦艦部隊は長距離ミサイルが役に立たなくなったので、目前に現れた戦闘ロケットを砲撃するが、砲弾は戦闘ロケットをすり抜けてしまう。

しかし、戦闘ロケットは幻影ではなく実態があるので、強烈なレーザー光を浴びせて戦艦を一機ずつ破壊していく。


その時、重力波が押し寄せて来た。

不可思議なレーザー光が創り出した戦闘ロケットは、宇宙空間の中で幻影のように消滅したり現れたりして戦闘力を失った。

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