第2話 1節 アトランティスの最期(1)

ヒロ、サーヤ、ミウ、ケン、マリは十三歳になった頃、忍者高校の物理の教師タカハシ ヨシトキから、無数の星、銀河、ブラックホール、ビッグバンなどの宇宙の基礎知識を教えてもらった。


タカハシ先生は、江戸時代の偉大な天文学者「高橋至時たかはしよしとき」と同じ名前だが、何の関係もないらしい。


「君たちが見ている夜空の星のほとんどは、我々の銀河の中にあるものばかりだ。君たちに見えているのは宇宙のほんの一部だ。宇宙には、我々の銀河と同じような銀河が千億個もあるんだ」

十三歳のヒロたちに分かるように、タカハシ先生は話し続ける。


「我々の銀河の外にある銀河で、近くにあるアンドロメダ銀河などは星のように見えているが、実は我々の銀河のように多くの星が集まってできているんだよ」


「そのアンドロメダから見たら、地球はどんな色に見えるんですか?」

マリは、青く見えるという答えを期待して、タカハシ先生に質問した。


「太陽は強い光を出す恒星こうせいだから、遠くからでもかがやいて見える。でも、地球は自分では光らずに太陽の光を反射する惑星わくせいだから、遠くからは見えないんだ」


タカハシ先生の答えを聞いて、ケンが質問する。


「じゃあ宇宙の中には、見えている星の数よりたくさんの惑星があるってことか。だって、太陽には八つの惑星があるんだから、恒星より惑星の方が多いはずだ。だったら、地球に人間がいるように、たくさんの惑星にいろんな宇宙人がいるはずですよね?」


「そう考えることはできるが、宇宙人がいる惑星は、まだ見つかっていない。UFOや宇宙人を見たという話は聞いたことがあるが、科学的に確認されてはいない。生き物がいるかもしれない惑星はいくつも見つかっているが、地球から遠すぎて生き物の存在を確認できないんだよ」


ケンが納得できるように、タカハシ先生はゆっくりと答えて、話を続ける。


「我々の銀河は約二千億個の恒星がうずを巻いていて、その中心は巨大なブラックホールになっているって、君たちは知っているかい?」


ヒロやサーヤが声を出す前に、ミウが答えた。

「そのことは、いつか新聞で読んだことがあります。でも、どんなものなのか想像ができません」


「ブラックホールに引き込まれたら、物質だけでなく光さえも出ることができない。ブラックホールは、ものすごく強い重力を持った物体だ。銀河の中心のブラックホールは、太陽の四千万倍という想像を絶する重さだと推測されている」


タカハシ先生は、ミウたちが理解できたかどうか、ひとり一人の顔を見る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る