第4話 絶句
目が覚めたのはあまりにも
何らかのきっかけがあったわけでもなく、意識が明確になるまでに時間がかかった訳でもない。
その唐突な
「ここは……どこなのでしょうか?」
彼女は重たい頭を上げ、自分の置かれた状況を確認する。
なにやら
床と天井は一枚の板なのだが、壁と呼べるものはなかった。その代わりに、
それが、人間の使う“
彼女が一匹入る程度の小さな檻。そこまで理解できれば、自分が
「? ……殺されなかったということかしら?」
明らかに殺されそうな状況で意識を失なったため、今の状況がいまいち掴めていない。
「私を捕まえたのは……誰?」
あの時の光景。思い出した
そして、一つの疑問を思い出す。
「あいつは本当に人間なのでしょうか?」
彼女と意思の
「まぁ、考えてもしょうがないことですね」
そんな結論を出した彼女は、辺りの様子を観察することにした。
「私と同じように捕まっている方は……いない」
檻の外を見回してみるが、彼女の入っている檻とほぼ同じものがいくつかあるだけで、それ以外には何もない。
明かりも無いため、かなり暗いのだが、彼女にとって左程暗いと感じるほどではなかった。
「出入口はあそこ?」
彼女は檻から数メートル離れた壁を見つめる。かすかにではあるが、この空間の外から風が入ってきている音が聞こえる。
そのかすかな音を聞き分けたことを誇るように、彼女は得意げに鼻先を舐め、後ろ足で耳を
耳の奥のむず
少しずつ彼女のいる場所へと近づいてきたその音は、どうやら足音のようだ。しばらく音が止んだかと思うと、出入口が音もなく横へとスライドし、何者かのシルエットが浮かぶ。
「およ? 目が覚めてるみたいですね? どうです? 理解できてます? もし、理解できるなら、鼻先を地面に当ててみてくださいな」
その言葉を聞いた彼女は、驚きとともに期待を込めて、三度地面に鼻先を当てた。
「おほぉー! 理解できてるみたいですね! いやはや、あの状況でアナタだけ息があったと聞いたので、もしやとは思っていたのですが……。彼には感謝しなくてはいけませんねぇ。感謝して、感謝して、感謝した後に殺す必要があるのですが、それはまぁ、置いておきましょう」
手をたたき、喜びを表現しながら飛び跳ねるその人物を、彼女は見守るしかなかった。
ただ、自分に危害を加える様子はないため、なんとなく安心している。
「さてさてさてさて、ふー、興奮のしすぎはよくないですね。
そうして自己紹介をした彼女はおもむろにこちらへと近づき、何の
突然開け放たれた檻を見て、彼女は一瞬、
もちろん、サーナへの
「あなたにはすこーし手伝って貰いたい事があるのです。もちろん、お礼はしますよ? あれ? そんなに警戒しないでくださいよぉ。せっかく意思の疎通ができるんですから。おや? 意思の疎通と言えば、アナタは話すことはできないのですか? あちゃー、そういえば、開放するのは意思の疎通ができることを確認してからでしたね。はい、
「そんなこと……」
全く、予期していなかった自身の声。
聞き取った自分の耳には、自信がある。だからこそ、彼女は
そんな彼女の様子を見て、サーナはニンマリと笑みを浮かべた。
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