天音復活計画その4


 「な、何とか……あと1ヶ月以内で……、私のこの症状を……何とかしたいん……です」


「うん、とりあえず、下を向いて話してる現状じゃ無理なんじゃない?」


「ほんと……使えない人ですね」


「うん、もう結構経つけど毒吐く癖も全然治ってないね、そして、全部僕のせいですか、そうですか……」


「ううう」


 最近のいつもの日課、天音と一緒に朝ごはんを食べている、勿論朝なので僕は自分の制服姿、天音の制服は着ていない


 昨日のカレーを食べながら天音があと1ヶ月とか無謀にも言ってきた……無理だろ絶対に……カレーうまうま


「あの、でも、私……どうしても……だから!、あの、デートというか、明日の休み、一緒にお出かけしてくらしゃい」


「噛んでる噛んでる、うーーん、必死さは伝わるけど、無理なんじゃない? というか一緒に出かけて一言も喋らずに帰ってくる事になる未来しか見えないんだけど?」


「そ、そんな事……一言位なら……多分、ほら今も喋ってるじゃないですか!、見えないんですか、その目は節穴かなんかですか?」


「うん、朝から一度も目を合わせないでいるっていう状態で、そのセリフを言える精神力は認めてもいいかな?」


「でも、私も何とかしないとって……、だから……」


 下を向いて震えている天音……


「まあ、出かけるのはいいんだけど……この状況じゃね~まさか僕が制服を着て行くわけにもさ」



「そ!、それです!!! あわわわわわ」

 勢い余って天音が僕と目を合わせるって、は?


「それです! お兄さんがいつも通り私の制服を着てくれたら、デートだって全然行けます!!」


「……なに……言ってるの? は? 意味が全然わかんないんだけど」


「バカですからね、お兄さん」


「段々慣れてきたとは言え、怒るときは怒るからね、って言うか行けるわけないだろ!」


「大丈夫です! お兄さんなら絶対に男ってわからないから!」


「そういう問題じゃないよ、何で僕が女装して出掛けないといけないんだよ」


「何でって、私の為意外にあるんですか? 趣味とか? うわっキモ」


「よしわかった! とりあえず僕はここまでで、後は誰か他をあたって下さい、じゃあ僕は学校に行かないと」


「見捨てる気ですか! 酷い、私を玩んだのね、さすがお兄さん、人でなし! たらし!」


「誰がたらしだ!」


「学校でみんな言ってます! 女ったらしで、すぐにやり逃げするって!! やっぱり私にもやり逃げするんですね!! みんなの言ってる通りだ、酷い」


「人聞きの悪い事を言うな、え、みんなってなに? 僕そんな風に言われてるの? えええ!!」


「まあ、みんなって言っても私全然友達居ないんで本当にごく一部なんですけど……」


「いや、で、でもごく一部には言われてるんだ……」


「いえ、言ってるのは私何ですけどね」


「何でだよ!」


「だって、私に近付く女子って、みんなお兄さん紹介しろって言うんだもん!」


「えええ!」


「でも大丈夫です! 言ってるのは心の中で、私愛想笑いしかできませんから」


「めんどくさ!、天音って色々めんどくさ!」


「お兄さんの見た目ほどめんどくさくありません!!」


「誰がめんどくさい見た目だ!」


「そんな男か女かわからない見た目の人がめんどくさくないわけがないじゃないですか」


「性格がめんどくさいよりよっぽどましだよ!」


「誰が性格ブスですって!!」


「言ってないけど、わかってるじゃないか!!」


「酷い! またブスって言った!!」


「ああ、ほんとめんどくさいなーー」


「酷い……酷いよ……」


「あ…………ごめん……でも……天音気が付いてる?」


「え?」


「僕たち今……目を見て喧嘩してるよ」


「あ!」

 天音は途中から顔をあげずっと僕を見ていた、そして今も見続けている。



「ようやく僕を見てくれるようになったね」

 僕は笑顔でそういう、すると天音の顔が真っ赤になる、そして……



「あああああ、私……見れる……お兄さんの事……」


「泣くなよ……顔が見れただけだろ?」


「でも、でも……嬉しい」


「まだスタート地点だからな、明日行くんだろ、仮デート」


「え、いいんですか?」


「ここで嫌って言ったらまた見捨てるって言われるんだろ?」


「ご、ごめんなさい……」


「お、段々素直にもなってきたね、じゃあ、明日朝出かけるよ」





「はい!!、…………でも…………あのでも……出来れば私の制服を……」





「……ええええええまだ言うの? 今喋れてるんだから平気でしょ?」



「でもでも、私初デートは好きな人としたいんです……あとお兄さんと歩いていてもし見られて勘違いとかされたら……」


「兄って言えばいいじゃないか!!」


「駄目です、もし私が、私だけが気が付かなかったら……とにかくお願いします!」



「いや、僕が女の子の格好して外を歩いて誰かにバレたら、僕のダメージが」


「私がバレないように準備しますから!!」


「ええええええ、マジで……」


「絶対にバレないようにします、だからお願い!!」

 俺を見ながら手を合わせる懇願する天音…………えええええ本当に?……



「ううう、明日の朝まで考えさせて……」


「はい……」


 とは言え、考える余地なんてない……


 明日恐らくデートでは無く女子同士? でのお出かけデート(仮)が始まる……なんなんだあああああああ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る