面影橋

 もう少し行けば面影橋というところで、百羽近い鳥の群れを認めた。あれは雀だと思うのだが、私は鳥の生態に詳しいわけではない。もしかしたら頬白、或いは私の知らない全然別の鳥ということもあるだろうが、とにかく烏や鳩でなかったことは確かだ。彼らは民家の窓とそのそばの電線を忙しなく行き来しており、私は糞でも落とされるのではと冷や冷やしてその下を通った。少し嫌な気分になったが、近くで鳥葬でも行われているのだろうと思うことで気を紛らわせた。

 面影橋は特になんてことのない小さな橋だが、下を神田川が流れている。近くを通るたびに私の脳内にはかぐや姫がやってきてコンサートを始める。これが九段下なら爆風スランプがやってくるのである。

 それにしても何故動物の群れは気持ち悪いのか。別に雀自体は好きでも嫌いでもない。子猫なら好きだ。しかし、百匹足元に集ってきたらたまったものではない。まだしも蟻百匹の方がマシである。そんな馬鹿な事を考えていたら目白駅に着いた。流石に雀と目白は間違えたりしないなとおかしくなったが、おかしいのは私の頭である。少し遠回りになるが、江戸川橋を通って帰ろうと決めて帰路についた。

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