第71話 8月16日(月・夜)夢を信じて・・・②
「えー!どこで!?」
「たしか『おむすびあたためますか』で今年から牛一家の一員になったHoTBの人気新人アナウンサーの佐藤アナウンサーよ!」
「マジ!?母さん、たしか毎週録画してたわよね!ちょっと見せて!」
「いいわよー。猛、リモコン持ってきて頂戴」
「はいはい、いいですよ」
僕は母さんに言われてテレビの上からリモコンを持ってきて母さんに手渡ししたけど、その間に姉さんは自分のスマホでHoTBの公式HPにアクセスして佐藤アナウンサーの事を調べ出した。母さんは録画してあった『おむすびあたためますか』の先週放送分を再生して僕たちに見せてくれたけど、たしかに卒業アルバムに載ってる佐藤さんだ。しかも真姫さんや実姫先輩に勝るとも劣らない巨乳だ。
「・・・佐藤藍アナウンサー・・・過去の主な経歴の中に『私立札幌時計台高校卒業』『高校在学中は学園祭の美少女コンテストで優勝』って書いてあるわね。199X年5月生まれって事は兄さんと同い年だから、間違いなくこの人ね。佐藤先生も佐藤アナウンサーも確かに言われてみれば美の双璧って感じよね」
「姉さん、真姫さんも物凄い美人だけど、佐藤先生も佐藤アナウンサーも高校時代から物凄い美人だったって事でしょ?という事は、真姫さんが2年生の時と卒業した翌年の優勝者が佐藤先生と佐藤アナウンサーだったって事になるよね」
「そうなるわね。たしかにハイレベルな年ね」
「そのハイレベルの時の『ミス・トキコー』が義理のお姉さんなんだから、私も鼻が高いわ」
姉さんはそう言って卒業アルバムをめくっていったけど、2年生の時の思い出のページでトキコー祭の『ミス・トキコー』のワンシーンが収められていた。佐藤先生がメイド服を着て佐藤アナウンサーにインタビューしている場面で、佐藤アナウンサーの横には真姫さんも写っていた。これには全員が爆笑してしまった。
でも、1年生の時にはたしかに佐藤先生と佐藤アナウンサー、真姫さんの三人が写ってたけど、3年生の時には佐藤アナウンサーは写ってたけど佐藤先生は写ってなかった。
「・・・という事は、佐藤アナウンサーは3年生の時の『ミス・トキコー』で、佐藤先生は1年生の時の『ミス・トキコー』って事になりますね。しかも佐藤先生は2年生の時も3年生の時もミスコンには参加していない」
「つまり、佐藤先生は考えようによっては『ミス・トキコー』の肩書を持ったまま卒業した事になるわね。佐藤アナウンサーは3年生の時に『ミス・トキコー』になってるから、二人とも『ミス・トキコー』の肩書を持って卒業した、珍しいパターンね」
「じゃあ、佐藤先生はわざと2年生と3年生の時に出なかったのかあ?」
「かもね。考えようによっては正しい選択よ。ライバルが強力だから、2年生と3年生の時に再び『ミス・トキコー』に選ばれる保証がないなら、言い方は悪いけど勝ち逃げ、別の見方をすれば『ミス・トキコー』を誰かに譲ったとも言えるわね」
「ふうん、なるほどねえ」
「姉さん、たしかアニ研が持っていた6年前の写真でもメイド服を着ている子が生徒会行事をやっているシーンが沢山写ってたよ。一人が当時の生徒会長でアニ研部長、もう一人が真姫さん、それともう一人が佐藤先生だったんだよ。さすがに僕が見た時にはまさか佐藤先生がメイド服を着ていたとは思ってなかったから真姫さんばかり注目してたけどね」
「という事は『文学王』は後期の生徒会長ね」
「あたしはアニ研の秘蔵写真を見た事ないんだぞ」
「それは私も同じよ。母さん、兄さんが2年生の時の写真はうちにある?」
「あるけど、一樹がミスコンに出る訳がないから3年間通して1回もミスコンを見に行った事はないわよ。だいたい、あなたたちだって母さんたちと一緒にトキコー祭に行ってたのに、猛も未来も高校生のミスコンに興味を示す訳ないから見なかったのも当然よ」
「とりあえず兄さんが高校生の時のアルバムを持ってきてよ。佐藤先生とか佐藤アナウンサーが写ってなくてもいいからさあ」
「それもそうですね」
「はいはい」
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