第36話 8月5日(木)異世界の扉の向こう側⑬

「冥王は死んだけど・・・冥王が左手に持っていた杖が今も玉座の横に落ちているって・・・何かおかしくないか?」

「たしかに・・・あたしも戦闘中は気付いてなかったけど、もしかしたらドロップアイテムになっているのかもしれないぞ」

「うっそー、お母さんの時は誰も気付かなかったし、既にこのダンジョンをクリアしたプレーヤーの数は相当いるはずだから一人くらい気付いてもおかしくないわよ」

「あたしもそう思うぞ」

「でも、調べてみる必要がありそうだな」

「そうだね」


リリカ 『おーい、蘇生させる前にちょっと聞いてください』

ミキティ『えっ?何かあったの?』

ショータ『まさかトラブル発生とかのオチはないよな』

リリカ 『冥王の玉座のそばに今でも杖があるけど、あれってドロップアイテムな

     の?』

ショータ『たしかにあるな。でも、そんな情報は聞いた事ないぞ』

ミキティ『私もよ。確認してもいいんじゃあないのかなあ』

リリカ 『分かった。取りあえず全員蘇生させて、念のためHPも満タンにして玉

     座のそばに行きましょう』

ショータ『それが無難だな』

ミキティ『そうしましょう。まどかさんもそれでいいわよね?』

まどか 『OKだ』


“リリカは蘇生呪文ザオーリクを唱えた  まどかは復活した”

“リリカは蘇生呪文ザオーリクを唱えた  ショータは復活した”

“リリカは蘇生呪文ザオーリクを唱えた  ミキティは復活した”


ミキティ『よし、全員復活したしアイテムでHPもMPも満タンになったよ』

ショータ『じゃあ、いきましょう。まどかさん、お願いしますよ』

まどか 『あいよー』


「猛、本当にドロップアイテムなのか?」

「さあ、分からん。もしかしたら杖が本体で、さっき倒した冥王は亡霊のような存在かもしれないぞ」

「勘弁してくれよお。杖に触った途端に冥王に体を乗っ取られるとかのオチは勘弁して欲しいぞ」

「その時は美紀に単体即死呪文ザッキをかけるだけだ。どうせ耐性は低いんだろ?」

「ちぇっ、たしかにその通りだ。おかあさーん、どうしてまどかは即死呪文ザッキ系の耐性が低いんだ?」

「うーん、ごめんね。実はお母さんがプレイしている時でも即死呪文ザッキ系にだけは耐性がかなり低いのよねえ」

「勘弁しれくれよお。致命的な欠点だぞ」

「多分、隠しパラメーターの数値が異常に低いと思うのよ」

「分かってるなら鍛えろ・・・って言っても即死呪文ザッキ系の耐性ってどうやって鍛えるんだ?それにレベル115まで行ってるから、もうすぐ上限だからアップデートされない限り打ち止めだぞ」

「みーきー、早く調べようよ」

「あ、スマンスマン。忘れてた」


“まどかは足元を調べた。なんと『召喚士の杖』を手に入れた”


ミキティ『うっそー、それって超レアアイテムで、入手方法も分かってない幻のア

     イテムの1つと言われてる物よ!』

ショータ『天地震撼士しか召喚できない幻魔を、魔術師と神官、賢者でも召喚でき

     るっていう、Sクラスの中でも最上位にランクされているレアアイテム

     だぞ!』

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