Shall we ダンス
60代後半 コンピューター関係会社役員
妻子有 常連
うちの店の女の子はお客様とダンスは踊らない
と 言うか
踊りたくない
わがまま従業員
まぁ 全く踊らないと言う訳ではないが…
大体ダンスを踊りたがるのは
60歳過ぎのおじさま達である
若い客は100%踊らない
(社交ダンスの事ね)
本当にダンスが好きで
ただ踊るだけならこっちも付き合ってあげるが
中には
体を触るのが目的で踊りたがる奴がいる
そういう時は遠慮なく途中でやめる
そして…ママが踊る(笑)
それ以後
「ダンスをしよう」
と 誘われてもキッパリお断わりします
所が…
1人だけ断わりにくい客がいた
この章に書いた人物
コンピューター関係会社役員のオヤジだ
何故断れないかって?
それは…
この男は…
ママの親戚で
店の売上の三分の一はこの男のおかげなので
私達はママにも言いにくかった
元々この男は客で来ていたのですが
縁あって
この男の息子と
ママの娘が結婚したのです
この男普段はダンディーだが
酔うと少しエロになり体に触れたがる
それもママの見てない所で
余り人目にふれずに体に触れる手っ取り早い方法が
ダンス
ってな訳
ダンスと言っても
この男の場合…
ただ 抱き着くだけ
腰に手を回し
グッ!と引き寄せ
微妙に手がお尻の辺りをサワサワ
耳元に近付いた顔…
鼻息フガフガ
ママの親戚じゃなければ遠慮する事もないんだけどねぇ
しかしある日の事
この男が
ダンスを誘わなくなる事件が起きた
ほろ酔いになり始めた男
案の定
「NaNaチャンシャル・ウィー・ダンス?」
ダンスを誘ってきた
何度か柔らかく断ってはいたが凝りもせず誘ってくる
この時も
「あ~トイレ我慢してたのすみませ~ん」
と トイレに逃げた
ちっ!うざってぇ
トイレで舌打ちし
何やら言い争いの声が…
あの声は
ダンス男と
前回 ヒロコ の時に居た
愛チャンの声だ
この日は愛チャンの出番の日でもありました
煙草もそこそこにトイレから出ると
2人が言い争っていた
「だからダンス踊れないんですぅ」
「キサマ従業員の癖に生意気な口きくな」
「だって本当に踊れないんです」
「キサマうちの会社ならクビだ店辞めろ!いや人間やめろ!」
「わかりました!お客様がそう言うなら辞めますよ」
なんだなんだ
いったいどうした
「二人ともまぁまぁまぁまぁ落ち着いて」
私が間に入る
愛チャンから話を聞くと
私がトイレに行った後
愛チャンがダンスに誘われたらしく
「踊れないから…」
と 断ったら怒りだし
愛チャンもカチンときて
言い返してしまったらしい
私のせいだ
バイトの愛チャンに矛先が行く事なんて気にも止めず
自分が逃れる事だけしか頭になかった…
浅はかな私
言い争いは更にエスカレート
愛チャンが店を辞めると言い出した
「お客様の気分損ねたのは私ですお客様に辞めろと言われたら従業員の私は辞めるしかないですから」
愛チャンカウンターから出ようとする
私は慌てて
愛チャンを止めた
その時でした
『おめぇらガタガタガタガタうるせぇんだよ
こっちは気分良く呑んでるのに何騒いでんだよ!!チッ!面白くねぇなぁ』
ママだった
知らん顔して他の客と呑んでたママがキレた
『NaNaガキじゃあるまいしダンス位でグダグダ言ってんじゃないよこんな事位収める事出来ないでどうすんだよ』
お…怒られた
そして…
『おいお前
うちはそんな店じゃねーんだよ女触りたけりゃ他の店行きな』
娘の舅に怒鳴った
おかげで店内
「…」シーン
おとがめなしの愛チャンだったが
愛チャンも動きが止まる…
はい
ママの一喝のおかげで
その場は収まりました
相手がママの親戚だったので
男もそれ以上文句を言わなかったって事もあると思いますが…
その後男の方から
「いや悪かった俺も酔ってたから」
「ぁたしの方こそ生意気な口聞いてすみませんでした」
と お互い謝り
乾杯しあいましたけど
(悪い人ではないんですよね~)
この件で男はうちの店ではダンスに誘う事はしなくなりました
この時私は水商売の難しさを改めておもいしらされました
まだまだ未熟な私
ママの親戚だったから良かったものの
下手すれば常連さんと
店の子を両方失う事になりかねなかったかもしれません
これからもっと勉強しなければならないです
反省してます
そして高いお金を払ってご来店頂いてるということも…楽しんで帰って頂かないとね
ってか
ママ
ダンスの時触られたりしたの知ってたんじゃん
まっ
そうでなくちゃママはつとまらないか
さて
次は
そんなママの話を書きますか
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