ママまたまた大爆発

12月15日 月曜日の夕方

都内某ホテルの前に1台のタクシーが止まった


タクシーの中から

黒い和服に

龍の刺繍が施してある銀の帯を締めた派手な女が降りてきた

続いてやや派手めな女が3人

車を降りた4人の女達はホテルの中に消えて行く…


和服の女はドアボーイに声を掛ける

『○○さんのパーティー会場に案内してちょうだい』

「かしこまりました!」

女達はボーイの案内でエレベーターに乗込み最上階へ


エレベーターの扉が開くと

そこは大会場

女達は受付へと向かった


受付「本日はお忙しい中ありがとうございます。恐れ入りますがチケットを拝見させて頂いてもよろしいでしょうか?」


女『…?』


受付「あのぉ~パーティー券を」


女『…ないわ!』


受付「申し訳御座いませんチケットがないとご入場出来ないのですが…」


女『はっ?何七面倒臭い事言ってんだい○○さん呼んでちょーだい!』


眉をつり上げ鬼の様な形相で睨みをきかす女

某国会議員の秘書の名前を言う

どうやら…

パーティー券を忘れて来たようだ


はいもうおわかりだと思いますがこの四人の女達は

ママと私、キャサリン、ママの友達でーす


5分位すると顔見知りの男が会場から現われた

「ママあれほどチケットを忘れない様に言ったじゃないですか」

『あたしの顔がチケットだよ』

…この女には常識は通じないみたいだ


とにかくチケットがなければ

どんな人物でも入れないらしく男は余ってるチケットを探しに走り回りやっと4枚調達し

ようやくパーティー会場に入る事が出来た


会場の中は凄い人数の人達でごった返していた

千人規模の立食パーティーである

その中にはテレビで良く見掛ける政治家の顔もチラホラあった

自◯党の党首を努めた事があるあの人もこの日はホスト役で来客をもてなしていた


そう

この会場は政治家・議員などのパーティーである

SPらしき姿もあり

チケットがなければ入場出来ないのも納得である


ママは真っ先にお酒のコーナーへ足を向けた

ボーイが数人で既にグラスに作ってある数種類の酒をゲストに渡している


『日本酒に氷を入れてくださる』

ママは笑みを浮かべながらボーイに話しかけた


ボーイ「お客様 申し訳御座いません 本日は日本酒はお出ししておりません。違うドリンクでお願いできますか?」


『私日本酒しか呑めないので持って来てもらえます?一杯で結構ですから』


「…申し訳御座いません今日は大人数でご用意できないのですが…」


ママ『…』

マタマタ片眉を上げながらも笑みを浮かべ連れの私達に問い掛ける

『あんたたち聞いてたかい?日本酒ないんだってさってかここはどこの国だい?』


「に…日本です」


『そうよねぇ確かここは日本よね』

『…日本に日本酒がない?…

ふざけろってんだ』


喧嘩祭りが始まった…

『こういう時はさり気なく一杯だけ作って差し出すのがプロのホストだろ日本のホテルに日本酒がないわけないだろふざけろ』


周りの百人近い人は危ない女に関わらないようにと遠巻きになりつつある

騒ぎを聞き付け議員の秘書が駆け付ける


「ママ千人近い人が居るんだから1人のゲストに特別扱いは出来ないって無理言わないで今日は抑えてお願いしますよ」

何とかなだめようと必死だが大人しく聞く相手ではない


『帰る』

ママ、出口に向かい歩き出した


こうなったらもう誰も止められない

女は後ろを振り向き

連れの女3人に大きな声で叫んだ


『何してるんだい早く来なさい

日本の居酒屋行くよ』

わざわざお店を休み

おめかしをした女4人

飲まず食わず

わずか10分たらずで会場を後にしたのであった


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