第1章-10 マイ奴隷とマイカー
「機械部へようこそ。歓迎するよ!」
油と鉄の臭い匂いのする工房に入ると、可愛い女の子が笑顔で歓迎してくれた。多分同い年くらい。ホント可愛い。
「じゃあ工房に行こうか!」
本部の部屋では小さいので近くに工房を建てているとのことだ。工房までは車で10分程度だった。この車も機械部が作っているらしい。機械部には50人が属しているものの実際に活動しているのは15人程度とのことだ。人手不足は現地人の奴隷で補っていると。
工房は2階建てで1階が製造を、2階は実験や図面作りの場になっている。製造のほとんどが現地人に任せており2階は基本的に日本人のみが入れる様になっている。ここの技術が漏れることを極端に嫌がっている節がある。そういえば車の中でも技術を漏らさないで欲しいと何度も注意を受けた。
「じゃあ何から説明していこうかね」
2階の一室で今井さんが切り出した。まずはそのへんに転がっている銃についての説明が欲しい。大砲っぽいのもあるし怖い。暴発とかしないのかね。
「これが気になるの?」
可愛い女の子が落ちてる拳銃の引き金のところに、指を入れてクルクル回しながら聞く。暴発させる気かよ、こわい。
「まずは自己紹介からな、実希。みんなを呼んで来い」
この可愛い子は実希さんか可愛い。実希さんは渋々といった表情で部屋を出ていった。
「すまないね。あいつは昔から機械事になると興奮する質でね」
今井さんと実希さんは古い間柄のようだ。うらやましい。
実希さんがたくさんの人をゾロゾロと連れてきた。15人は絶対に超えてる。あと若い女の人が多い。ど
ういうことだろうか。
「では私から。今井健人、先日26になったばかりだ。機械部の部長をしている。こちらの世界に来て7年目だ」
「お兄ちゃんは東大生なんだよ!」
実希さんがハキハキと今井さんの自慢をする。今井さんは実希さんの頭を軽く叩きながら話を続ける。
「こいつは今井実希、18だ。私と一緒にこちらに飛ばされてきた。」
よろしくぅ!と、実希さんはこれまたハキハキと続ける。
「そしてユイとユウキが私達の専用奴隷になる。基本的に雑務を担当してもらっている」
そのユイさんとユウキさんが会釈をくれたので会釈を返す。2人共20歳くらいだ。二人共帽子をかぶっている。それが日本人と奴隷の見分けるコツかも知れない。あとノルマンディの姉やロリに比べて健康的な体型だ。
そのまま、全員分の自己紹介を受けたがほとんど覚えられなかった。日本人は男のが多いものの、奴隷はほぼ女だった。また、奴隷がかぶっている帽子は獣人を隠すためだという。獣人というだけで激しい差別を受けるため帽子をかぶるり、特徴的な耳を隠すことで差別を防ぐとのことだ。
暫くはここで作っているものやその構造、日本との違いとかを教えてくれるらしい。実希さんでなく梶原さんがついて教えてくれる。男で唯一男の奴隷を持っていた人だ。
1ヶ月にわたる美鈴さんと梶さん(梶原さんのあだ名)らによる教育で、それなりにこっちの世界に馴染んできた。俺の奴隷も買ってもらった。サクラサケの方針に則り獣人だが、もちろん女の子だ。猫の獣人で15歳。選んだ理由が俺より背が低くかったから。そしてかわいいから。
身長は耳を伸ばすと俺と同じくらいで中肉中背。狐色の体毛を有している。体毛といっても耳と尻尾くらいしか生えてないが。茶トラの遺伝子を持っていそうだ。15歳の割には幼い顔つきをしている。
美鈴さんや美波さんは奴隷を持ってないし、梶さんは男の奴隷なので今井さんについて行ってもらった。値段は金貨で150枚。獣人にしてはお高め。
この世界での貨幣制度について。国ごとに異なる貨幣を製造している。
メゾン王国では銅貨、銀貨、金貨の3種と大金貨の4種。銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚。そして、大金貨は金貨1000枚分。貨幣の繰り上がりは慣れないとわかりにくい。まあ銅貨なんてめんどくさくて使わないが。
単位は{円}でなく{メゾ}と言う単位を使う。銅貨1枚1メゾ。商人同士ではメゾを使うが普段は銀貨○○枚と銅貨○枚と言う。計算出来る人が少ないらしい。
物価は昼食を1回取ると50メゾ程度、一般的な服を買うと150~3000メゾ(中古)である。
物価は地球と大きく異なるが食費で考えると1メゾ10円くらい。
サクラサケの名前の由来も聞いた。サクラサケはもう50年を超える歴史がある。
昔、日本人は強い迫害を受け、奴隷になる人も多かったが、先輩方のたゆまぬ努力や日本の技術の応用でやっと今の地位を確立したそうだ。サクラサケという名前は、苦行の時代にいつかは桜が咲くようにと付けられた名前だそうだ。ダサいとか言わなくてよかった。
この機械部は車を中心に武器や農具なども作っている。武器は銃と大砲を、農具は水車を用いた粉引き道具などを製造、研究をしている。1ヶ月かけて梶さんに教わりながら自分専用の車をつくった。免許がないので運転方法も教わった。と言ってもアクセルとブレーキとハンドルくらいしかないのでゴーカートと大差はなかったが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます