第十二話 剣術の才能
翌日、七時五十五分
「行くわよ~」
「へーい」
俺とルイナは今一緒に飛んで登校している。
「ホントに急に押し掛けて大丈夫かな?」
「多分大丈夫よ。大体あの先生はいつも暇だから」
そしてルイナの高校に着いた。
「ほぉ~、ここか」
「そうよ」
日本の学校より大きい感じだが、よくある高校の作りだ。特に校庭が大きかった。通常の二倍くらいある。
他の生徒の人も飛んで来ている。
「ほら降りるわよ」
俺とルイナは昇降口に降りて職員室に来た。
「失礼しまーす」
すると一人の男の先生が来た。
「おぉ~ルイナか、久しぶりだな」
「はい」
「おや?そちらの子は」
「あ、こちら私の友達のアルトです」
「アルト・アギル・リーヴェです」
「アルト君か。私はルイナの担任のライアです。今日はどうしてここに?」
「えっと」
「アルトは剣術を学びに来たんですけどヘルサ先生いますか?」
「多分道場にいるよ」
「わかりました!」
俺たちが職員室を出ようとすると、
「あ、ちょっと待って」
「どうしました?」
「これを付けて行きなさい」
先生は何かを取って何か書くとそれは首に下げる名札だった。
『学校見学 アルト・アギル・リーヴェ』と書いてある。
「ありがとうございます」
「頑張ってね。ヘルサ先生は厳しいから」
「わかりました」
「失礼しましたー」
俺達は職員室を出た。先生厳しいって言ってたけど大丈夫かな~。
「よし、道場まで案内するわ」
「お前今日始業式だろ。大丈夫なのか?」
「アルトを送ったらすぐ教室に行くわ。そのために少し早歩きで行くわよ」
「わかった」
道場までの道のりまでに色んな生徒を見た。
「やっぱりみんな見てくるな」
俺を見た生徒は小声で『転校生?』と言う。早歩きで名札が裏返っていたからだ。
「いいから早く行くわよ」
そうして渡り廊下を通って道場についた。
木の壁に囲まれて、上には空が見えるが何もない広い空間だな。
そこに黒髪でポニーテールの女の人が前座をしていた。胸や背中、手、肘、膝、脛などに甲冑を付けている。
「おはよー、ヘルサ先生!」
「え⁉この人が剣術の先生?」
「む、この人が、とは心外だな」
そのヘルサ先生は顔を動かさずに俺を睨めつける。男の先生かと思っていたから意外だった。
「ご、ごめんなさい」
「ふん、まぁいいだろう」
そういうと先生は立ち上がった。
「先生なにしてたんです?」
「瞑想をしていたのだが、君は、見学者か」
先生は俺の下げてる名札を見ながら言った。
「で、アルト君はなぜここに?」
「あっ、先生に剣術を教えてもらいたくて来ました」
「そうそう、先生お願いできます?」
「別に構わないが」
「あ、ありがとうございます」
「よかったわね」
「ああ」
「ルイナ君はそろそろ教室に戻ったほうがいいんじゃないのか?」
「そうですね。ならアルトのことは頼みました。詳しいことはアルトに聞いてください」
ルイナは早歩きで教室に向かった。
「よし、さっそくだが君の今の実力を見せてもらおう」
「どうするんです?」
「私に向かって剣を振るがいい」
そう言って先生は俺から少し離れて腰に付けている剣を抜いた。
「危なくないんですか?」
「危ないなどと言っていると上手くならんぞ」
そう言うなら。そう思って昨日買ったバリス刀を抜いた。
「ほう、バリス刀か。中々マニアックな武器を使うな」
「これが好きなんで」
「それより、君は見たところ魔法剣士なのだろう?」
「まぁ一応」
「なら刀に魔力を付与しないのか」
「そういえば」
魔法剣士は刀剣に色んな属性の魔力を付与することで刀剣を強化する。
俺はやり方は知らないがコンロなどの機械に魔力を注入するやり方は夏休み中にルイナに習ったので、似たような感じで手の甲を刀の鍔から切っ先までなでるように炎属性の魔力を流してみた。
すると刀の刃から一瞬炎が出た。できたのか?
「よし来たまえ」
俺は構えた。構えるために刀を動かすと炎が残像のように出てきた。更に火花も散っている。
俺は先生に向かって走り、刀を上から振った。先生は右に避ける。俺は振り下ろした刀を右上に斬り上げたが先生は後ろに下がって避けた。追いかけて刀を横に振った。だがまた後ろに避けられる。
何度攻撃しても避けられてしまう。連撃を仕掛けても先生は態勢を崩すことなくひらりと避ける。
「はぁ、はぁ、まだ続けますか?」
「いやもういい」
「ふぅ~」
俺は膝を抱えて下を向いて深呼吸をした。
「今度はこちらから行くぞ」
「えっ⁉」
俺が顔を上げると先生が目の前にいた。しかも剣を振りかざそうとしている。
とっさに後ろに下がった。先生の剣は空気を斬った。
「ちょ、ちょっと」
俺の言葉には聞きもせず間合いを詰め剣を斬り上げる。俺はギリギリでバリス刀で受け止めた。
「ぐっ」
先生はものすごい力で押してくる。刀を持っている腕が力を入れていても震える。少しでも力を緩めると斬られてしまうだろう。
すると先生は剣を引いて後ろに下がった。
次はどうくる。俺は先生の動きを警戒した。
先生はこちらに向かって走ってきた。俺は剣に目を向ける。
その瞬間、先生は飛び俺の上を飛び越えた。
「なっ!」
俺は少し遅れて後ろに向いた。だが向いたときには先生の剣が俺の首の横にあった。
「まぁまぁだな」
先生はそういうと剣を引いて鞘に戻した。
「し、死ぬかと思った」
「アルト君はその刀を持ってどれくらい経つのだ?」
「昨日買ったばっかりです」
「武器を使った経験は?」
「これが初めてです」
「ほう、そのわりには刀を扱えていたが」
それは多分模造刀を振っていたからだろうな。
「昔、木刀で遊んでいたので」
といっても一ヶ月前ほどだが。このバリス刀も模造刀と対して変わらない重さだし。
「君は中々の才能を持っているな」
「そうなんですか?」
「あぁ、私は昔中学の剣術教師をやっていたのだが今のことをすると、みな私の剣を恐れ、逃げまどう。立ち向かってきた者もいたが私が剣を振ると腰を抜かす。それから木剣でやれと校長に怒られてな」
先生は苦笑しながら言った。
「それでこの剣が使えないのならやめてやると思って、この高校にきたのだ」
「この高校なら本物の武器を使ってもいいんですか?」
「この高校と限られたわけではなく、高校なら使ってもいいのだよ」
「そうなんですね」
「話を戻すと、君は少し技術を磨くだけでもう戦えるな」
「本当ですか⁉」
「あぁ」
よし!これならルイナと一緒に戦えるかもな。
「さっそくその技術を教ええてやろう」
「お願いします!」
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