第四話 ジョブ
「はい!ここが服屋!」
さっきまでずっといじってたせいかルイナはいらだっている。
「そう怒んなって」
「だから怒ってないって!何回言ったらわかるの?馬鹿なの?」
俺はルイナを無視して店に入った。
「ちょ、無視しな――」
「いらっしゃいませー」
店の中はすごく綺麗で広かった。
「おぉ、綺麗だな」
「はぁー、無視とか最低。アルトの服買ってあげるんだからもっと丁寧で慈悲深くしなさいよ」
「ルイナ様に服を買っていただけるなんて光栄です」
「くぅ~、腹立つからやらなくていい!」
俺たちは
「ほぉー、ゲームにありそうな服」
「そういえばジョブってまだ決めてないわよね?」
「ジョブ?ゲームでいうところの賢者とか魔導師みたいなやつ?」
「そうそう。アルトの世界ではゲームでジョブがあるの?」
「そうなるな」
この世界の〈ゲーム〉はコンピュータゲームはなく勝負事などの〈ゲーム〉だろうな。
「話を戻すと大体はジョブで服の種類を選ぶの、だからんーと……したいジョブってある?」
「なにがあるんだろうなー」
「たくさんあるから、アルトの世界のゲームであったジョブでなりたいやつがあったらこの世界にもあると思う」
俺が厨二病じゃなければすぐ見つからなかったであろう。そう俺がなりたいジョブは
「魔法剣士」
「魔法剣士ならあるわ。でも魔法と剣術、二つの技術を学ないといけないけど大丈夫?」
「多分大丈夫さ」
魔法と剣術を学ぶ勉強なんていくらでもしてやる!
「なら魔法剣士の服はこっちね。大体コートが多いけどそれでもいい?」
「うん、俺コート好きだし」
厨二病のときに着ている服もコートだった。
「これとかどーう?」
「うーん、青色か。しっくりこない」
「なら緑」
「好きじゃない」
「赤」
「好きだけどなんかなー」
「黄色」
「黄色も好きじゃないなー」
「じゃあ何色ならいいのよー」
「んー」
色々悩んでいると、黒くて所々に赤い線が入っているコートを見つけた。
「カッコいい!」
「それにするの?」
「ああ」
「えーと『軽くて動きやすい』、うん!いい感じね。値段はと、これくらいなら普通ね。あとこれに合う靴とか靴下ね。この店は靴も売ってるから」
「いい店だな」
今、靴はサンダルを履いている。
「このコートに合う靴はこれね」
ルイナの選んだ靴は黒いブーツだった。確かにコートに合っていた。
「それでいいよ」
ルイナはそのまま靴下を選んだ。
「下着は自分で選んできて」
「あぁー、はいはい」
俺は荷物を置いて下着があるところに行った。
「これでいいか」
俺はシャツとパンツを2着ずつ選んだ。
すると近くにいた男の人と目が合った。
「あ、えと、こんにちは」
「あ、こんにちはー」
と言って俺はルイナのとこに戻った。
「どうしたの?」
「いや、知らない人と目が合ってさー、なんか気まずかったなーって」
「あぁー、わかる」
「この世界でもこういうのあるんだなー」
「それより、可愛い下着を選んだわね~?」
「じろじろ見るな、恥ずかしい。ていうか普通だろ」
「アルトが選んだ下着可愛いわねぇ~」
多分こいつさっき俺がいじりまくったから今はとりあえずいじりたい気分なんだろうな。
「じゃあ会計するか」
レジに向かうまでルイナは『可愛い』という言葉を俺にくっついて言ったり、耳元で囁いたりしたが全部無視をした。
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