第二話 二人暮らし
「それよりアルトこれからどーするの?」
確かに俺はこれからどうすればいいのだろう。突然異世界に行ったときの対処法なんて習ってないし。
「どうすればいいのかなー?」
「突然異世界に行ったときの対処法とか習ってないよねー」
同じことを考えるな!
口に出して言おうと思ったがごちゃごちゃ言われそうなので心の中でつっこんでおいた。
こういうときは俺のゲーム好きの知識を活かそう。
「とりあえず寝床を探そうかな、この世界にも夜って来るよね?」
「来るわよ。あと寝床ならここ使っていいわよー」
「えっ!でもここって」
「ん?私の家だけど。嫌?」
「嫌じゃないけど、ここってルイナ以外に誰か住んでるの?」
「私一人だけど?」
ついさっき出会った女の人と一つ屋根の下って。しかもいつまでここに住むかわからないし。
「あっ、わかった!女の人と一緒に住むのが恥ずかしいんだぁー、かーわいぃ~」
「ぐっ」
こいつ、さっきから男心をいじってきやがる。
「そういうお前はどうも思わないのかよ」
「んー、別に私は大丈夫。もしアルトが私に不埒なことをしようとしても、すぐに私の得意な氷魔法で永久冷凍してあげるから!」
そもそもそんな不埒を働こうとは思っていない。しかも可愛らしく清々しい笑顔でそんなことを言うとはもはや狂気沙汰だな。
「その点に関しては安心してほしいところだけど、ただで泊めてもらうっていうところは」
「もちろん、手伝いとかしてもらうわよー」
「そのくらいなら俺にもできるか」
「それよりー」
「ん?」
「本当に変なことしないでよー」
うっぜー。なんでこいつはこの話を掘り返してくるんだ。ただ俺のいじりたいというS野郎なのか。それとも変なことをしろというフリなのだろうか。それはそれでMになるな。
「しないから大丈夫だって」
「本当かしらー、まぁいいや」
こいつ俺があんまり反応しないから飽きたな。
「この部屋は自由に使ってねー。自由だけど丁寧にね」
「ありがとう」
「よし!なら家の案内するね」
そうして家の案内が終わったあと
「はい!これで家の案内終了―。ちゃんと覚えられた?」
「難しい構造ってわけじゃないし、2階とかもないし、覚えたよ」
「おっけー、あとなんか質問とかあるー?」
異世界でも『おっけー』とか英語も使うんだな。そもそも日本語で話せてよかった。
「うーん、外を見てみたいな」
「あ、ならちょうどいいや、私今日の晩御飯を買いに行くところでアルトを助けたからまだ買えてなかったのよねー。だから一緒に買いに行こ!」
「そうだったのか。なんかごめんな」
「大丈夫大丈夫!アルトに荷物全部持たせるから!」
少しイラッときたが、助けてもらったお礼やお手伝いも兼ねてるのでやるしかない。
「わかったよ」
「アルト分のご飯も奢るんだから感謝して持ちなさいよ」
ルイナには感謝したいがしたくねぇ!
「あとアルトの服とか着るものを買わないとね。アルトの世界ではその服は普通だったかもしれないけど、この世界ではなんか変だから」
「そうなのか」
「ということで、レッツゴー!」
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