第42話 パフェ


かおりから『駅前のあの店でパフェでも食べに行かない?』って誘いがあって あいつすでに駅にいて待ってるってんで とにかくダッシュで着替えたよ


そしたら1分もしねぇうちに電話がなって『今どこ?』つってせかしてきやがるし アタイも待たすの好きじゃねぇから 急いでベランダに出て水路パイプから消防士みてぇに滑り降りてったwww


てか着地したらミミズ踏んずけててマジ焦ったwww


そのまま庭にあったピンクのクロックス履いて駅まで走ってって 駅に着くなりかおりに『お前 もっと計画的に連絡しろよ!ミミズ踏んですげぇ足の裏ぬるぬるするしだし! 普通の奴だったら来ねぇのにアタイは来たんだよ!』ってキレた感じで注意したら『ごめん 急にパフェ食べたくなっちゃってさ♪』ってウキウキしてた


アタイもパフェ食べたかったし特に怒る必要もなかったんだけどさ『お前のために来てやった』感を出した方が おごってもらえる確率が思いっきし上がるんじゃねぇかなって アタイなりのセコい演技だったんだよwww


でもかおりの奴はアタイを上回ってたよ さすが劇団の第一次審査を合格させただけあるなって実感したよね


まるでアタイのド素人の演技を見破ったかのように『あれ? 確かミスカ月末給料日だったんじゃない? まだ残ってるはずだよね? お金がなかったら普通は来ないもんね?』ってアタイの財布をチラチラ見ながら言ってくっから何か変な予感がしたんだよ


やっぱしだよね


即座にバッグから財布を出してきやがって『ミスカは残金あっていいなぁ~♪ 私の財布なんてこれだよ この薄っぺらさ見てみてよ ほらっ 触ってみて』って いきなしすげぇ力で右腕を引っ張って財布を触らせたからねwww


とりあえず店が閉店になるとやべぇし 近道でチャリ置き場を通って急いで歩いてたら 何か怒鳴り声みてぇのが聞こえてきたから2人して一瞬止まったんだよね


かおりが『誰だよ うるせぇの(笑)』ってアタイのほうを見ながら言ってくんだけど どう見ても周りには人がいなさそうだしさ そんでアタイも『誰も見えねぇけど どっからだよ(笑)』って笑いながらまた歩き出したんだよ


そしたらすげぇ暗いとこで 制服着た高校生の男が地面にしゃがんで赤いチャリに鍵を差しながら『ふざけんなっ!』ってキレてんのが見えたwww


2人であのバカ何やってんのって感じでクスクス笑っちゃってさ『チャリと喧嘩するなんて 世の中もだいぶ変わってきたんだね』ってブツブツ話しながらしばらく見てたんだよ


何してんだか知んねぇけどさ 男が鍵をガチャガチャさせながら『おらテメェ 入れっ コラッ~~!!』って大声で叫んじゃって さすがにそれ見て2人で爆笑したwww


笑い声でアタイ達に気が付いたみてぇで 目が合ったら軽く頭を下げながらそいつ笑ってたwww


アタイが『さっきから君は何と闘ってんだよ?』って聞いてみたら『それが この鍵なかなか入らないんですよぉ』って言って かおりが『そんな訳ないでしょ(笑)ちょっと貸してみ』って試してみたけど 確かに何度やっても入らねぇんだよ


アタイが『これロッカーの鍵とかじゃねぇの?』つったら『いやぁ これです』って言ってたし その後にアタイが試しても入んねぇから『今日は暗いから明日の朝にまたやってみろよ』ってアドバイスしたんだよ


そしたら『そうですね・・・どうもです』ってなってそいつと一緒に話しながらチャリ置き場を出て行こうとしたら 15歩くらい歩いたとこで『あれっ! これかな?』って男がいきなし言い出して違う赤いチャリの前で立ち止まったんだよ


それ聞いたかおりが『ひぇ~! ひょっとして もしかして 間違えちゃったとか?』って笑ってたら 男が『すいません たぶん です・・・』って言って鍵を差してみたら『カチャッ』ってすぐにはまったよwww


アタイが『よかったじゃ~ん てか早く間違えに気が付けよ』って言ったら男は笑ってるだけだったwww


その後に男が『ありがとうございました 何かお礼・・・とかしますけど』って言ったらすぐにかおりが『マジかよ! うちらあの店でパフェ食べに行くから一緒にどうよ?』ってめっちゃご機嫌に応えてて この展開もしかしてって思ってたら『いいですね 僕がお金払います』って予想通りの展開になったwww


店に入ってアタイ達はパフェ食ってたんだけど 男はウーロン茶飲みながら30分くらい話して 高校生におごらすなんて本気じゃなかったから 結局んとこかおりが全員分のお金を払ってくれたよ


高校生なんてめっちゃ嬉しそうな顔しちゃってさ かおりに何度もお礼を言って笑顔になってて そんで外に出てバイバイする時も かおりと写メ撮ったり握手したり手を振ったりしてて 金を出さなかったアタイなんて全く見向きもされねぇからぶったまげたよwww



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