第8話 バス停


今日はダチのみさきん家までバスで行ってきた


糞寒いってのにバス停に行ったらすでに75歳くらいの老夫婦が震えながら並んでて アタイは体があったまるようにステップ踏みながらヘッタクソな口笛を吹いてバスを待ってたんだよ


吉幾三って奴の『雪国』を選曲してたんだけどさ もうすぐサビって時になにやら変な音がして邪魔してきやがったんだよ『ふぅ~ ふぅ~』って感じでさ


せっかくサビの手前でサングラスしてポケットに手を突っ込んで構えてたってのに この雑音のせいでライブを中断しざる終えなかったwww


普通に何この音マジうぜぇんだけどって思って辺りを見周してみたら


発信源はすげぇ目の前で並んでるさっきの爺さんだったwww


てかもしかしてこの曲が好きで『ふぅ~ ふぅ~』はコーラスでもやってくれてたんかなって感じて 爺さんにありがとうを伝えようとしたら  ただホット缶コーヒー冷まして飲むのに必死こいてるだけだったwww


お前の缶コーヒーは沸騰でもしてんのかよwww 


てかコウモリがプリントされてるマフラーしてんのも気になったけどさ それよか横にいる婆さんのおでこから流血してんのは何原因なんだよwww


爺さんは一口飲むたんびに『ふぅ~ ふぅ~』ずっとしてるし しまいには『ふぅ~ ふぅ~』しすぎの疲労で『ふぅ~~』ってため息までしてっからねwww


しばらくしたら婆さんに『これ冷ましてくれ』って命令口調で缶コーヒー渡したんだけどさ そん時に婆さんの額の流血に気が付いたんだよ


そしたらいきなし爺さんあたふたして テンパりすぎて両手で婆さんの頭を強くおさえながら 血が下へ流れねぇように額めがけて『ふぅ~ ふぅ~』思いっきし息ぶっかけてたwww


この魔法みてぇな息にはどんだけマルチ機能があるんだよwww


てかティッシュで拭いてやるなり 持ってなかったらその辺の葉っぱでもいいから血を拭きとってやればいいんだよ


息のおかげで流血はおさまったけどさ バスが来た時には婆さんの額なんて幾何学模様になってて見てらんなかったよwww

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る