浮遊戦艦の中で311
リゲルデは、ジェリーの手招きに促されるまま、その後を付いて行くしかなかった。
無論、ジェリー・アトキンスの言ったことを全て信じ切れるものではない。しかし、いくら真っ暗闇出ないにしろ、このような視覚と実際の経路とがかけ離れた場所に一人取り残されては、全てが八方塞がりになってしまう。
「ジェリー・アトキンス。貴様……貴様は、この俺と中に戻って何をしようと言うのだ? 戻ることによって、貴様に何のメリットがあるというのだ?」
言われてジェリーはその場に立ち止まり、静かに目を見開いてこう言った。
「ミスターワイズマン。先ほども申しました通り、わたしはこの世界では、この中の以外のことを良く知りません。そんなわたしが一歩でも外に出てしまえば、そこは地獄やもしれません」
「では、貴様は俺を利用しようと?」
「まあ、そう取られてしまうのも仕方りませんが、そういうあなたも今現在、わたしのことを自分の目的の為に利用していることになります。ですが、わたしはそれでも構いません。それがわたしの今後のメリットになるならば……」
リゲルデにとって、ジェリーへの質問は軽いコミュニケーションのつもりだった。しかし、リゲルデ本人が無意識に
「す、すまん、今言ったことは気にせんでくれ。この俺の本心ではない」
「いえ、分かっています。もし、この逆で、わたしがあなたの立場だったなら、きっと同じ心境になるでしょう」
ジェリーはそういって笑みを浮かべ、何事もなかったかのように歩みを先に進めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます