浮遊戦艦の中で278
「水陸両用か!? 貴様、最初からそれを狙って……!?」
リゲルデはしてやられたのだ。他次元の彼らによって裏をかかれたのだ。
それぞれの世界には、それぞれが抱える環境がある。確かに凶獣の住まうヴェルデムンド世界によってフェイズウォーカーは強化されたが、もう一人のリゲルデの世界も何らかの影響によって地表が水や湿地帯に覆われ、戦闘マシンが強化されて来たということなのだ。
「ここでお前を葬りに来た訳が分かるか!? 我らの世界のフェイズウォリアーはな、ただパワーがあって大きいだけではない。この装甲の厚さも形状も、水圧や抵抗に耐えうるために進化して来た表れなのだ!」
「では、この俺を油断させるために……!?」
「当たり前だ! 確かに地上での機動力はお前の世界の機体には敵わない。しかし、それを打ち破る手立てなど己の得意分野に引き込んでしまえばよいこと。お前は自分の世界の機体だけが特別だと思い込んで、俺たちの機体の特性など何も考えていなかったのだ。愚かな!!」
「ば、馬鹿な……!? この俺をそこいらのお調子者と同じだとでも言うのか!?」
そこに、凶獣のリゲルデの声が割って入り、
『愚かな人間のお前よ。お前は私だ。私は私の欠点を知っている。なぜなら、私はこの世界のお前そのものだからだ』
「な、何だ、化け物の俺か!? いきなり頭の中に話し掛けて来るんじゃない!! ええい、欠点だと!? だから何だと言うのだ!?」
『良いか、もう一度申す。お前は私なのだ。そして……』
「そして?」
『私はお前の……いや、全ての私の行いが見える』
「な、何だと!? それはまさか、今の俺の心が読めるとでも言うのか!?」
『いや、心が読めると言うより、お前の見ている物がそのまま見えているとでも言った方が良い』
「で、では……あらかたの考えが凶獣のお前に筒抜けだったってことなのか!?」
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