浮遊戦艦の中で274
さらに、リゲルデはあらためて白蓮改の頑強さに感嘆した。
「あれだけの攻撃を受けて、まだ動けるぞ、このポンコツは。さすがは戦乱期の名機と言ったところだな」
彼は、各計器類をチェックしたが全く異常がみられなかった。さらには、各々の起動部位やスラスターノズルの出力などを試してみたが、戦闘レベル以下の異常すらも見られなかったのだ。
「古来より、先んずれば人を制すと言うらしいが、それは真実だな。ここに我らの人類が一番先に渡航を始めたのが功を奏したのだ」
リゲルデは笑いが止まらなかった。あの自分が知っている強欲で気が小さくて自己中心的な考えしかないシュンマッハが生き残った意味が良く分かる。ここで十年時を過ごした自分たち人類が、どれだけ発展し、強靭な力を手に入れたことか。
それは科学技術というだけの話には留まらない。そう、ヒューマンチューニングによって得た力もさることながら、生身でこの世界を渡り歩いている〝ネイチャー〟と呼ばれる人々ですら他の次元世界の人々よりも強靭になっているのだ。
「そうか、そういうことなのか。あ奴らが言っておったペルゼデールとかいう奴は、そうやって同じ素材の存在を違う環境で育てたらどんなモノになるのか試していたということか。フッフッフ、これは実に興味深い実験だ。アッハッハッハ、そして何とも名状しがたいレクリエーションだ!」
この時、リゲルデはペルゼデールという存在の真意を推し量った。
しかし、それが本当にペルゼデールという存在の真意なのかは定かではない。とは言え、この状況を鑑みて自分たちの人類が優位に立っていることは事実だった。彼には、それがあまりにも愉快痛快でたまらなかったのだ。
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