浮遊戦艦の中で260
旋回と同時に、リゲルデの身体が強く横に押し出される。出力の限界までホバーを吹かしたために機体が倒れそうになるが、そこは自動制御装置が作動し事なきを得る。
刹那、リゲルデは胃の中の物を全て戻しそうになった。旧式の機体なために、身体にかかる重圧が並大抵ではないのだ。
「グ……!! 駄目だ、間に合わん!!」
旋回で巨木の陰に回り込んだが、ミサイルの射角からは逃れられなかった。リゲルデは咄嗟の反応で誘導ミサイルのボタンに触れた。すると、一基のミサイルが背中のポッドから勢い良く放たれ、迫り来る敵のミサイルと直前でぶつかった。
「うおあああっ!!」
互いの反発し合う衝撃と猛爆発によって、リゲルデの機体は塵が舞うように吹き飛ばされる。
宙を転げ落ちるように放物線を描き、リゲルデの白蓮改は大湿地帯の汚泥に叩きつけられた。そして、
「うぐう、まだ生きている……、俺はまだ生きている」
頭を強く打ち意識が朦朧とした中で、リゲルデは横たわった機体を立て直そうとホバーアクセルを踏み込もうとした、その時、
「うおっ……!?」
またもや何かがぶち当たったような強い衝撃を受け、機体は仰向けに倒された。
「何だ、何が起きている……!?」
まるで手出しが出来なかった。まるで状況がつかめなかった。ただリゲルデは見知らぬ何かの力に圧倒され、そして死の予兆を感じていた。
「ま、まさか……。この俺が何も出来ないまま人生を終えるのか? シャルロッテの仇を討つことも出来ず、ただここで朽ち果てるというのか……!?」
彼が半ば覚悟という名の諦めを感じ始めた、その瞬間、
「お前のように腐った輩など、今ここで俺が叩きのめしてやる!!」
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