浮遊戦艦の中で②
正太郎は怪訝な眼差しで師を仰ぐと、
「なにも驚くことはない、羽間正太郎。お主は元々が商人だ。そんなお主ならば、
「ああ、それはその通りだ。確かにそれが出来ねえと、交渉なんて百年経ったってまとまらねえからな」
「うむ。
ゲネックは、腕組みをしたまま正太郎を説き伏せる。このような命懸けのスパルタ訓練と、ゲネック・アルサンダールの独特の理論にピタリと付いて来られるのは、何を隠そう彼の経験上、羽間正太郎ただの一人のみであった。それだけにゲネックの教えにも更なる熱が入る。
「羽間正太郎。次は二体同時に相手して見せい。
ゲネックはさらりと言いのけるが、
「お、おい、おやっさん、ちょっと待ってくれよ! 一体のヴェロンだってままならねえってのに、二体同時なんて無理に決まってんだろ! いくら何だって少し厳しすぎやしねえか!? それに命の保証だって……」
「たわけ!! 泣き言を申すな!! 主の力はその程度のものか!? 良いか。お主はこれからというこの弱肉強食の地で様々な苦難を乗り越えて行かねばならん。いくらお主に人より秀でた才覚があろうとも、それを開花させねばそれはただの形骸に過ぎぬのだ!! 儂はそのようにただ漫然と朽ちて行く種を放っておきたくはない!! さあ、儂の熱い期待に応えたくば、今ここでそれをやってのけて見せい!!」
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