神々の旗印178
「な、何だと!? て、てこたあ……今のミサイルは、〝核ミサイル〟だったっていうことでゲスか!?」
「え、えええっ!? つまり、今のが正真正銘の核攻撃だったと言うのだすですか、背骨折りさん!!」
マドセード、エセンシス兄弟は、まるで
「ああ、俺ァな、この騒動の少し前にこの目で実際見ちまったんだよ。さっきの赤いバケモンとの戦闘で、勢いで空に飛びあがっちまった時にな……。あの空の向こうに俺たちの故郷である地球……いいや、東京の姿をな」
「なんだって!? あの空の向こうにトーキョーが見えたでゲスか!?」
「それは本当なのだすですか、背骨折りさん!?」
正太郎は、彼ら兄弟にその目に焼き付けた光景を延々と説明した。烈風七型の機体のまま、高高度上空まで舞い上がった時に見たあの光景――。赤い鉄塔や、あの細々と立ち並んだビルの形を彼が見間違うはずがない。
「と……ということは。つまり……。あの空の向こうに、あっしら人類が元々住んでいた場所があるというわけでゲスね?」
「あの空の遥か向こうに、我々の星、地球があると言うだすですね!?」
その時、二人は何故か目に涙を溜め込んでいた。彼らは、自らの意思でこのヴェルデムンドという地に出向いたというのに。それでも故郷が懐かしいのか。
「だがよ、テメエら。そんな悠長な感じでホームシックに浸っている場合じゃねえぞ。あの空の向こうに地球があってだな、そしてそこから核ミサイルらしきもんが飛んできたとなると……」
「そ、そうか! もしかして、あのミサイルは、このヴェルデムンドを狙って来たってこと……!?」
「つまり、ヴェルデムンド事態が、地球に狙われているってことだすですか、背骨折りさん!?」
「ああ、考えたくもねえことだが、そういうことになるな。確かに意味も原因も何も分からねえ。が、あっちから核攻撃を仕掛けて来たってことは、見ての通りの事実なんだ。ということは、向こう側もこっちを核攻撃しなくちゃならねえ理由があるってことを前提に考えた方がいいな……」
兄弟たちは、そこで言葉を失った。
本当に正太郎が言うように、今の核攻撃が地球からの物だったと仮定したら、現在の地球はヴェルデムンド事態を敵視しているか、もしくは何らかが原因で破壊対象としていると考えられる。
「いいか、マドセード、エセンシス。今の俺たちの状態は、どうあっても二つ以上の考えに挟まれたまんまのムジナ同然よ。この争いの源の意味すら分からねえで、誰かに良いように踊らされてるってわけさ。どうだ、悔しかねえか?」
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