神々の旗印142
正太郎は、そのタイミングを待っていたかのようにアーム部分に格納されたガトリングを解き放った。そして間髪入れず、
「これでも食らいやがれ!!」
とばかりにもう片方の腕を振り上げ、赤いフェイズウォーカーの肩部分にレーザーソードを突き立てた。
すると、赤いフェイズウォーカーは苦し紛れの雄叫びを上げ、それと共にその巨大な体躯を右に左に揺さぶらせながら烈風七型を振り落とそうとする。
「く、くうっ……!! 絶対に落ちるなよ、烈!! 落ちたらもう二度と這い上がれねえ!! 落ちたら二度と倒せるチャンスはねえ!!」
「わ、分かってるよ、兄貴!! オイラ、絶対に離さないからね! オイラ、絶対に落ちないからね!!」
烈風七型は、赤いフェイズウォーカーの巨大な首筋にしがみ付き、正太郎はレーザーソードで首部分の表面をグサグサと突き刺し、烈太郎はふくらはぎに内蔵されたスラスターを器用に放出させバランスを保たせた。
その間にも、彼らの目の前には赤いフェイズウォーカーの表面から零れ落ちて行く無数の人の姿が確認出来た。それが彼らには実体なのか幻影なのかどうかは分からない。それが本当に彼らと同じ人間なのかも分からない。しかし、それ自体がこの赤く巨大に膨れ上がった怪物を作り出した張本人であることは直感で理解出来た。
「あ、兄貴……!! オイラ、オイラ……!!」
「耐えろ!! ここは耐るんだ、烈!! ここでお前がこいつらに刹那的な優しさを与えちまえば、こいつらはこのまま与えられるだけの心の貧しい餓鬼になっちまう!! また他人を恨むだけの怪物の姿で暴れ回るだけになっちまう!!」
「で、でも、でもさ、兄貴……!!」
「でももへったくれもねえ!! いいか、烈!? 俺たち人類は自然の摂理の中に生きている。同じ自然の中に生きる鳥も、巣から羽ばたくまで与えられるだけのひな鳥に過ぎねえ。だけどよ、成長してそこから一度でも羽ばたいちまえば、もう後進に与える者の存在として生きて行かなくちゃならねえんだよ!! それが大自然の中で生きて行く宿命なんだよ!! エサもエサの取り方も、そして大空を自由に羽ばたく飛び方なんかも、巣立つ前の存在に与えてあげる存在になってなくちゃならねえんだ!! しかし、それも分からずこいつらみてえに、ずっと何かを期待して与えられるのを待っているばかりじゃ世の中の全てが狂っちまうんだよ!!」
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