神々の旗印92
「な、何だ、この無線は!? 誰なんだ!? この声は誰の物なんだ!? 一体誰が俺を呼んでいるというんだ!?」
勇斗は、その機械混じりの不気味な声色に背筋に冷たいものが走った。この声のニュアンスは確かに聞き覚えがある。だがしかし、余りに人間離れした抑揚の少ないイントネーションに死人が呼び掛けて来るようなおどろおどろしさを感じてしまう。
「ナ、何でスノ!? 勝手ニ無線の周波数帯を乗っ取られマシテヨ!!」
人工知能マーキュリーですらこの慌てぶりである。彼女に至っては自らが機械音声でありながら比べて精気に満ち満ちている。
「そ、そんなの俺が知るもんか! この機体のシステム担当はそっちだろう? 発信源を特定するのはマーキュリーの仕事じゃないか!!」
「アラ、たまにはまともナことを仰いますノネ! 宜しいデスワ。ちょっと気が引けますケレド、アタクシがこの不気味な声の発信源ヲ特定シテ差し上げマスワ!」
落ち着いた対処をしているようで、どこか明らかかに取り乱した素振りで応えるマーキュリー。彼女はあらゆるセンサーを駆使し、コックピットのサブ画面上に半径五百メートルばかりの俯瞰図を差し入れて電波の発信源を逆移送させる。すると、
「ナ、ナンデスノこれ!? この音声の発信源ハ!?」
「この音声の発信源は……何だ!? 何なんだ!? 早く答えろ、マーキュリー!!」
「ア、慌てないで泳げサンマで御座いマスワ……。女はいつもミステリーなのデスカラ!!」
「何を訳の分からないことを言っているんだ、マーキュリー!? この一大事だって時に!」
「解析終わりまシ……。ヤハリ、ヤハリそうです。この音声電波の発信源ハ……」
「発信源は!?」
「東京デス……」
「と、東京!? 東京って、あの?」
「ソウデス、アナタや少佐の
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