野望の㊿
ここまで来ると、もう見つかるだとか見つからないだとか言っていられない。恐らく武装型ドローンが正太郎の姿など容易に捉えている。
「やるしかねえのか!」
彼は携帯型防弾板を左手に構え、シールド代わりに前に突き出し、敵の来る方へと突進した。空中を縦横無尽に飛来するドローンに対して、遠隔から狙うよりも自らが近寄って撃った方が効果的だと思ったからだ。
案の定、武装型ドローンは標的とする正太郎に向かってきては攻撃を仕掛けて、また離れてゆくという動きを繰り返している。それが二十機以上交互に繰り返しているから狙いをつけにくそうに感じるが、ある程度のパターンさえ見切れてしまえば造作無い。
彼は、一旦物陰に隠れると、タイミングを計って攻撃してきそうなドローンに対してこちらから飛び込んで行った。すると、そのドローンは正太郎の動きに対し同じ直線を描きながら攻撃を仕掛けて来る。そこで彼はタイミングを見計らってM8000の引き金を引く。
狙いはドンピシャだった。彼が撃ち出した銃弾はかなり近距離から発射されたためにその威力が落ちず、特殊樹脂製の胴体を勢いよく貫通し、その動きを簡単に封じ込めた。
「やれる! これならやれるぜ、俺って天才!」
いかにもお調子者といった戯言を吐きながら、正太郎のテンションはどんどん上がって行く。
間髪入れずに近寄って来たドローンが、スティルベレットを何発も撃ち込んでくるも、盾にした防弾板をかざせばどうということもなく避けられる。
確かに、勢いよく放たれたスティルベレットに向かって真正面から突っ込んで行くのは勇気が要る。
「だがよ、虎穴に入らざれば虎子を得ずってな。昔から窮地を脱するには、敵を近くにおびき寄せた方が倒し易かったりするもんだぜ!」
後は、集中力と判断力と反射神経の致すところである。
こうなると昔から彼は強い。いちいち考えを巡らさなくても、体が勝手に反応する。視界が広がる。手が動く。銃弾の補充でさえリズミカルに事を済ませられる。
武装型ドローンは、次々と彼に撃ち落されてゆく。その運命がまるで最初から決められていたかのように。
予期せぬ劣勢を強いられた人工知能側は、突然出鱈目な様相を演じて三機同時に重なり合って攻撃を仕掛けて来るが、逆に一直線の配列で向かって来た為に、一つの銃弾で一撃のもとに貫通され一遍に撃ち落されてしまう。
「くうっ! 痺れるねえ!」
自らの射撃の腕に惚れ惚れしながらも、警戒を止めない正太郎。
だが、調子がいいのもここまでだった。彼が派手に撃ちまくれば撃ちまくるほど、彼の持ち弾は底をつく。
「やっべえ! 空飛ぶ円盤をやっつけたはいいが、まだ巨人兵がわんさといやがる。こりゃまた機械野郎に一杯食わされたってっことか!?」
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