炎
昨日と変わりのない時間を夕方まで過ごしている。たまに開いてみるLINEも何もない履歴だけが画面に映る。ましてや女の子からの連絡なんてあるわk
「…ピコン!」
なるはずのないLINEの通知音がなる。
とはいえ期待してはいけない。これは罠だ。多分キャンペーンか何かの通知だろう。そう思いつつも少し期待を持ってLINEを開く。
『宮川くん!英語でわからないところがあるんだけどよかったら教えてくれないかな?忙しかったらいいんだけど!』
中島さん…。嬉しいはずの、期待どうりのはずの女の子からのLINEのはずが、2つの雑念が俺を素直には喜ばせてはくれない。
一つは、なぜ俺に聞いてきたのかということ。俺は英語が得意であって、別に中島さんと全く話さないわけでもない。彼女の好意でたまに話しかけてくれる。
しかし中島さん、中島えりという人物は皆に優しく皆に好かれる素晴らしい人だ。
つまり彼女には仲の良い英語の得意な男友達も何人かはいる。普通に考えるとその人たちに聞くのが妥当である。
2つ目はもしかしたら中島さんは、もしかしたら俺のことが好きなのかもしれないということだ。
いやいや、今はそんなこと置いておいて返事を返そう。
『全然大丈夫だよ!』
愛想良く見せるためにもびっくりマークは必須である。
こういうわけで俺は中島さんを意識し始めるわけだ。
俺はこのたった一つの小さな炎を絶やすまい絶やすまいと工夫をこらし返事をする。
『洋楽とか聞いたりする?英語の勉強にもなったりするよ!よかったらオススメの曲教えるよ!』
『そう言えばもうちょっとで始業式だね!クラスどうなるかな?』
などなど。
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