Fly me to the Moon

なぜかわかるの

あなたなら私のことが分かるって

鏡はすべて見せてくれたから


私は月よりも雄々しく美しく

星たちに囲まれて賛美される

ただ一輪の薔薇だったわ

木星や火星に訪れる春を謳歌したときにも

わかっていたわ

いつか私は天空から堕ちて暗い褥で

あなたを待つって

あなたの口づけを

あなたの息吹を

あなたの血肉を

あなたの苦しみを

あなたの倦怠を

あなたの歪みを

私は知っていたわ


鏡はすべて見せてくれた

暗い褥の澱みとなった私とあなたの

救いようがあり救いようがない

地獄めいた道行きの果てを


私は手を差しのべないわ

あなたが差しのべるの

あなたは器

私を掬いあげる


そうして逆しまになるの

天空を逆しまに堕ちるの

青銅の鏡のなかの月まで




※平成三十年二月一六日

《海野しぃる様の『お友達から始めませんか』を参考に》

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