第48話 リアル脱出ゲーム③~開始
突然スポットライトがステージを照らしたかと思うと、一人の女性がマイクを持って立っていた。
「あー!元気がないぞー、おはようございまーす!」
「「「「「「おはようございまーす!!!」」」」」」
「よーし、みんな元気だね。本日は『リアル脱出ゲーム×金田一君の事件簿×JR コラボ企画 地獄の奇術師からの挑戦状』に参加して頂き、ありがとうございます。私は本日の司会進行を務めます・・・」
どうやらスタッフの一人のようだ。この人が今日の簡単なルール説明をしている間に、別のスタッフが俺たちのテーブルの上に大きな封筒を置いていった。ただ「合図があるまで絶対に開けないで下さい」と言ったので、俺たちは封筒をテーブルの中央においたまま、司会者の話を聞いていた。
「・・・それでは、間もなくイントロダクションのアニメが始まります。そして、笛の合図と共に、皆さんは封筒を開けて下さい。それと同時に皆さんの周りにあるシートが外されますので、その展示物はステージ突破の為のヒントになります。それと、事前の受付段階で小学生がいると申告したチームにはスペシャルヒントが途中に1回だけ与えられます。なお、今回のリアル脱出ゲームでは、最初のステージのみノーヒントで突破してもらいますが、それ以降のステージでは各ステージで解答できるのは4回までです。2回間違えた時点で1度だけヒントを受け取る権利を得ますが、1度ヒントを貰ったチームはゲーム終了まで受け取る事が出来ませんので、受け取るかどうかはチーム全体で判断して下さい。さらに、各ステージで4回間違えるとその次のステージに進む事が出来なくなりますのでお気をつけください。各ステージの答えが分かったチームは、私から見て右手側にいるスタッフのテーブル2か所のどちらでもいいので、解答用紙を持って来て下さい。もしそれが正解だったら、次のステージで使う物を渡します。それでは『リアル脱出ゲーム×金田一君の事件簿×JR コラボ企画 地獄の奇術師からの挑戦状』スタート!」
『みんな、俺の事を知ってるか?まあ、俺の存在を公表しないでくれってオッサンに頼んでるから知らない人もいるだろうから、簡単な自己紹介をさせてもらうぞ。俺の名前は
こいつは俺の幼馴染で同じクラスの
あ、そうそう、この画面の端っこに申し訳ない程度に出て来た生意気そうな奴は、オッサンの上司にあたる、警視庁捜査一課の
今日はオッサンが俺たちの日頃の捜査へのお礼という事で、ゴールデンウィークの真っ最中の京都への一泊二日の旅へ用意してくれたんだ。まあ、形の上ではオッサンが父親で俺と美樹がきょうだいという事で老舗温泉旅館の予約を入れたらしいけど、俺としては美樹が一緒に来てくれるだけで十分だ。
俺たちは東京駅の新幹線改札口の前に集合し、オッサンから新幹線のチケット受け取った。今日、俺たちが乗るのは、『のぞみ号』新大阪行きだ。今は丁度ゴールデンウィーク期間中のため、全席指定の臨時の『のぞみ号』が運転されているので、それに乗る訳だ。
俺たちは『のぞみ号』の7号車に乗り、これから行く京都で何をしようかとかを話しているうちに発車のベルが鳴り『のぞみ号』は定刻通りに発車した。
『♪今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は「のぞみ号」新大阪行きです。途中の停車駅は、品川・新横浜・名古屋・京都です。Ladies and gentlemen ・・・』
ところが、新横浜を発車した直後
『お客様のお呼び出しを致します。金田一一二三様、七瀬美樹様、鞘持勇様、8号車の車掌室へお越しください。繰り返します・・・』
と、車内放送で呼び出しがあった。俺たち3人は何事かと思い8号車へ行くと、車掌からこう告げられた。
車掌『警視庁捜査一課から新幹線総合運転指令所に連絡があり、この「のぞみ号」
に爆弾を仕掛けた、しかも新幹線総合運転指令所のコンピューターを全て
ハッキングしたから列車をダイヤ通りに運行させなかった時は即座に爆弾
を爆発させるとの犯行声明があったとのことです。そこで、あなた達に爆
弾の解除をお願いしたいとのことで呼び出した次第です』
俺たちは俄かに信じられなかったが、その時、オッサンの携帯に電話が入った。画面の表示には「明智健太」と書かれていた。
鞘 「もしもし」
明 『私だ、明智だ。車掌から聞いたと思うが、君たちが乗った「のぞみ号」に爆
弾を仕掛けたという犯行声明があった』
鞘 「おい、車掌の言っていた事は本当だったのか?」
明 『しかも犯行声明の主は、君もよーく知っている、あの天才マジシャンにして
稀代の犯罪者「
鞘 「『地獄の奇術師』だとお!」
明 『時間が無いから落ち着いて聞いてくれ。高遠は新幹線総合運転指令所のメイ
ンコンピューターをハッキングした。そちらの解除には警視庁が全力を持っ
て取り掛かっているがまだしばらく時間がかかりそうだ。高遠が言うには、
全ての列車をダイヤ通りに走らせろ、特に君たちが乗っている「のぞみ号」
はダイヤ通りに走らせろと言っている。高遠が言っていたが、君たちの乗っ
ている新幹線の台車の部分に爆弾を仕掛けてあるから、走行中に爆弾を抜き
取るのは不可能だし、ダイヤ通りに走らせなかった場合には即座に爆発させ
ると言っている。ただ、高遠は「車内にあるタブレットが解除装置になって
いるから、そこに暗証番号を入れたら爆発は解除できる」とも言っていた。
でも、その爆弾は、君たちが名古屋駅に到着して停車するまでに暗証番号が
入力されなかった場合、自動的に爆発すると言っていた。鞘持君、君の横に
は一二三君、美樹さんがいるはずだから、この二人と一緒に車内にある暗証
番号を入力するためのタブレットを探すんだ。それと、この情報が一般に公
表されると恐らくSNSなどで拡散してパニックになるから、あえて公表し
ない事にしているから、君たちも注意してくれ。じゃあ、新たな情報が入り
次第また連絡する』
そう言うと、明智さんからの電話は一度切れた。
鞘 「聞いたか、一二三」
金 「ああ、聞いた。だが、どこにその機械があるんだ?しかも、その暗証番号を
どうやって調べればいいんだ?」
七 「ひふみちゃん、どうしよう・・・」
金 「大丈夫だ、俺が必ずタブレットを見つけ出し、そして暗証番号を入力して爆
発を阻止してやる。ジッチャンの誇りにかけて!」
鞘 「車掌さん、乗客がパニックを起こす可能性があるので、絶対に口外しないで
下さい。それと、車内で不審な人物を見かけたら、すぐに教えて下さい」
車掌「あー、はい、分かりました・・・いーててて!」
七 「ひふみちゃん、何をやってるの!車掌さんの頬を抓ってどうするつもりだっ
たの?」
金 「奴は変装の名人だ。だから車掌が奴だと思って化けの皮を剥がそうとしたん
だ」
鞘 「うーん、特殊メイクもしてないなあ。こいつは高遠じゃあない」
車掌「うえーん、私は本当に無関係ですよ。ホントは列車から飛びおりたい位です
けど、それが出来ないからあなた方に協力しますよ」
その時、再びオッサンの携帯で着信があった。相手は再び明智さんであった。
鞘 「もしもし」
明 『高遠から連絡があった。奴が言うには1号車2番Bの座席の下に封筒が置い
てある。その封筒の中に入っている手紙の指示に従えとの事だ。鞘持君、す
ぐに1号車へ行くんだ』
鞘 「分かった。すぐに1号車へ向かう」
俺たち三人と車掌はすぐに1号車へ向かった。そして、明智警視からの情報の通り、1号車2番Bの座席の下には大きな封筒があった。
俺は封筒を開けた。その中にはICレコーダーと手紙、写真が数枚入っていた。
金 「・・・この手紙には『ICレコーダーを再生しろ』、としか書いてないぞ」
俺はICレコーダーの再生ボタンを押した。
高 『久しぶりだね、金田一一二三君。新幹線の旅は退屈だろ?今日は君たちの為
に素晴らしいのイベントを用意したから、存分に楽しんでくれ。さて、そん
な事より一二三君、君は暗証番号を入力する為のタブレットを探しているの
だろ?でも簡単に教える訳にはいかないなあ。だから僕は一二三君に謎解き
をしてもらおうと思う。もし君が僕の見込み通りの人間なら、見事に爆弾の
解除に成功するだろう。だが、君が見込み通りの人間でなかった場合、他の
乗客と共に単なる肉片に早変わりするだろう。まあ、名古屋の直前で止めれ
ば助かるけどな。あ、そうかあ、のぞみ号を名古屋駅にダイヤ通りに止めな
かったら即座に爆発するんだったなあ、ゴメンゴメン。じゃあ、次の指示は
写真の謎を解いた先にあるから、君の実力を見せてもらうぞ。さあ、急ぎた
まえ』
金 「くっそー、高遠の奴、俺たちを揶揄ってやがる」
七 「ひふみちゃん、やりましょう!」
金 「仕方ない、奴の思惑通りになるのはシャクだが、この写真の謎を解こう!」
七 「ひふみちゃん、名古屋駅到着まであと1時間よ!」
“ピー”
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