【ラノベ】勇者のお姐さんは「妖しい踊り」で魔物を手懐けていくのです【ネタ】

柿木まめ太

プロローグ

 面倒臭い前日譚はパスよ、パス! どーしてあたしがこんなエグい格好で、こんなエグいモンスターに囲まれて、こんなエグいポーズでくねくね踊ってるかは後で聞いて、後で! 見れば解かるでしょ、忙しいのよ、今は! 押し寄せる緑の軍団が後から後からワラワラと……


 腰をふりふり、巨乳をつきだし、流し目イッパツ、ばちこーんとウィンクをかませば、ゆでダコみたいに真っ赤な顔したゴブリン数匹がどばーっと鼻血を噴いてひっくり返る。なんたってこっちは瀕死の勇者(それもちびこいの一人きり!)と、初めてのお使い状態の見習い回復師ヒーラー(こっちもちびこいの一人きり!)の、たったの三人パーティなのよ! こんなん、緑の波に飲み込まれたら確実にミンチじゃん、いやよ、こんなグリンピースどものお腹を満たすハンバーグになるなんて!!


 とにかくあたしは目一杯踊りまくり、目一杯ウィンクかまして、手当たり次第に並み居るゴブリンたちを魅了しまくったわ。そう、あたしの職業、『踊り子』


 いいカンジにクラブで踊ってたとこを、何か知らないけどこっちの世界に拉致られたのよ。ちゃんと還してくれるんでしょうねぇ、あのババァ。


 今のあたし、ボディコンシャスなバストトップスと、ヘソ出し巻きスカートのスリット深めタイプに、じゃらじゃらビーズの飾りが体中に付いた、ザ・踊り子スタイルな衣装で文字通り踊り狂ってまーす。ちなみにBGMは自前。ジプシー風の色味は渋くていいかもだけど、ちょっと地味であたし的には趣味じゃないカンジ? 文句も言ってらんないんだけどー? いい加減疲れてきたわ、魅了したゴブくんたちも三桁に上る勢いよ。


 あっ、すごい、あたしに魅了されたゴブくんたちが、まるであたしを守ろうとするように押し寄せる同胞たちに向かって剣を構えだしたわ! 先頭の数匹が味方同士でチャンチャンバラバラ、いいぞ、もっとやれ! あたしも応援するごとくに激しく腰を振ってアピールしちゃうっ! ガンバレー!(無責任な煽動ダンスと共に)



 ……どさくさ紛れになんとか二人を連れて死地を脱出。

 はーあ、この先が思いやられるわぁ。

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