第23話 前 新しい仲間?

ヒーラー…そんな…じゃあ、私は…魔法三回分しかワンドにセットできない私が、神官のアシュリーさんに敵うはずはないし、魔法攻撃もメアリーさんに劣る。カイル兄さんや、メイさんのように前衛として戦えるわけでもない。


「アシュリー、こっちはケイリ。召喚士でチームの頭脳だ」

「ケイリの召喚獣を見たことないし。頭は回るかもしれないがいざの時は足を引っ張る」

「あれはケイリのせいじゃない、それに、あの時は充分稼いだだろう」

「でも勝手に居なくなった」

「勝手じゃない。ケイリはちゃんと手紙を残した」

「私達に商談せずに?」

「くっ…」


カイル兄さん…なんか、必死なカイル兄さんの姿を見て泣きそうになった。でも今泣いじゃだめ。


「でも今はちゃんと戻ってきた。修行して強くなって戻ってきた」

「またいつか何処に行っちゃうじゃないかな? ねぇ、メアリー」

「…」

「もう僕達に黙って何処に行ったりしないよね、ケイリ」

「うん」

「クッソ、あ、いや。くすん、ケイリのことを知らないのは私だけか?」

「アシュリー、だからあのくすんはあざとくて嫌いなんだ」

「バーロー! あ、いや。ハロー…だから、神官は汚い言葉を使っちゃダメって言ったでしょ」

「よく神官になったもんだ」

「アシュリー、私とメアリーも二、三回しかケイリと一緒に戦ったことがないから。一番ケイリに詳しいのはカイルなんだから」

「ケイリは賢いしすっごくいい子だよ。自分に自信がないのは玉に瑕だが」

「ケイリはどんな魔物を召喚出来るの?」

「召喚出来ないよ」

「え、どう言うこと?」

「何故かわからないけどケイリは召喚しようとしないんだ。僕もケイリの召喚獣を見たことがない」

「じゃあ、ケイリはどうやって戦うの?」

「魔法の弓で戦うけど、あの弓は使い物にならないという評判なんだが」

「アシュリー、心配しなくていいよ。ケイリは頼れになる仲間なんだ」

「そうか」

「呆れた。相変わらずケイリに甘いんだね、カイルは。アシュリー、ケイリはカイルのことをカイル兄さんと呼んでるけど、ケイリはカイルの妹ではなく、幼馴染なんだよ。ライバルなんだよ」

「ライバル?」


え、妹ならいいけど、幼馴染はライバル。それって、まさか…


「そうなことより、そろそろ出発の時間だよ」

「あ、そうか。ありがとう、メアリー」

「ケイリは残れ」

「カイル、ここはケイリの実力を見るところでしょ」

「だめだ。ケイリは疲れてるはずだ」

「私は、大丈夫。私も、一緒に」

「ほら、ケイリもこう言ってるじゃないか」

「わかった。Dランクのクエストは初めてだから無理しじゃあだめだよ」

「うん」


メイさんは悪い人じゃないけど相変わらず厳しい。メアリーさんも相変わらず無口で何を考えているのかわからない。アシュリーさんも悪い人ではなさそうだ。でも、ライバルと言う言葉が気になる…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る