第2話船出

少女と小人と猫は、森をぬけた。

森をぬけると、深紅の海が、ひろがっている。

その、浜辺には、水晶が、水晶でできた、貝が、たくさん、ちらばっている。

巻貝が、透き通って、光を、まく。小人は、そのひとつを拾って、調べる。

大きい巻貝を耳にあてたのは、マントに身を包んでいる、少女。貝からは、音がする。黄金の旋律が聞こえる。異界の、音・・・。

異界の街の、喧騒、雑踏が、聞こえる。少女はたましいが、ひきつる・・・。


魔法で、船をだす。杖なんか使わないが、魔法使いである、その少女。


船には、きれいな、帆がかかっている。

結局は、魔力ですすむ、小舟なのに。深紅の海に、ラピスラズリの色をした、小舟が、浮かぶ・・・。


風が、吹く。神々、精霊、が吹く風が、船にからむ。

猫が、トビウオを、つかむ・・・。紅い、気味の悪い、魚、しかし、猫は、舌舐めずりして、食べる・・・。

小人が、くじらをみる。潮を吹くのは、くじらなのだろうから。


少女は眠る。・・・。月が出ている・・・。星が出ている。夜がきた。

夜の神が、きまぐれに、やってきた。


繭を、しまいこんだ、小箱を、少女は、どこかに持っている。届けなくては、指輪と、いっしょに、世界が滅び去り、朽ち、灰になってしまわない、うち。


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