誠実な道化

改札出口の時計台

定めの時刻はとうに過ぎ

夜空に白い息をまたひとつ吐く


あの子は誰もが目を惹く

学園イチのヒロインだって

夢を見たって届かない


教室にきらめいてた

同じ笑顔 ほら今僕の前に

差し出された


聖なる夜の鐘の音が鳴り響く

君を連れだしてドアを開けよう

わかってる 気まぐれに選ばれただけでも

舞い上がる道化の僕だって



すれ違う同じ制服

振り向いて目を丸くして

「信じられない」

聞かせるようにつぶやいた


あの子は誰もが目を惹く

学園イチのヒロインだから

髪をなびかせ 追いつけない


テーブルの向こう側で

輝いてる笑顔に

だけど僕は 踏み込めずに


連れ去りたいよ 時の音に逆らって

君に触れられない ドアも開かない

虚しさを集めたら多少はマシになる?

空っぽの会話たちだって


改札の向こう側で

瞬いた笑顔 一度きりで

振り返らず


明日の朝は戻るよクラスメイト

記憶すらもう 薄れていく

わかってた 消え失せる運命のもとにある

夢だって


聖なる夜の鐘の音が鳴り響く

君を連れだしてドアを開けよう

わかってる 気まぐれに選ばれただけでも

舞い上がる道化の僕だって


とけてゆくよ

この想い

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