リレイヤーズ・エイジ - VIVID AVERSIVE EVE -

第0話『これだけ読めばOK！前回のお話』

　時に、西暦2098年。

　世界は人類存亡を賭けた最終戦争のさなかにあった。

　敵の名は、パラレイド（PARALLID）。

　次元転移（ディストーション・リープ）で時間も空間も問わず現れる、謎の機動兵器群……国を大地ごと消し飛ばし、何度も地図を過去の遺物へと更新し続ける脅威。それがパラレイド。

　全地球規模で戦争が日常化した中、学生たちもまた幼年兵（ようねんへい）として戦っていた。

　女子供や一般人でも習熟しやすい主力兵器は、操縦者と同じ姿で思念操縦補助機能があるロボット、パンツァー・モータロイド。通称ＰＭＲ（パメラ）は全高7メートル前後の人型機動兵器である。

　少年少女たちは今、鋼の防人（さきもり）へと魂を灯（とも）して戦う。

　いざ、鈍色（にびいろ）の青春を突き抜けて……未来に、抗（あら）がえ！

　皇立兵練予備校（こうりつへいれんよびこう）二年生、摺木統矢（スルギトウヤ）は地獄の第三次北方防衛戦（だいさんじほっぽうぼうえいせん）を生き残った。

　幼馴染の相棒、更紗（サラサ）りんなの命と引き換えに。

　消滅した北海道から統矢は、大破した愛機97式【氷蓮（ひょうれん）】と共に青森にやってくる。【氷蓮】は最新鋭ながら、北海道で大規模生産、集中配備されていたため……本土では修理の手立てがない。だが、必ず愛機を直してりんなの仇を取ると統矢は復讐を誓う。

　そんな彼が出会う、仲間たち。

　戦技教導部のメンバー、五百雀辰馬（イオジャクタツマ）と御巫桔梗（ミカナギキキョウ）、ラスカ・ランシング。そして、不思議と不器用に優しい少女、五百雀千雪（イオジャクチユキ）。

　蘇る愛機と共に、統矢は仲間たちと戦線へ復帰する。本土では初となる激しい戦いの中、北海道を消し飛ばした宿敵、セラフ級パラレイド……ゼラキエルを撃破。

　続いて、謎のＰＭＲ【シンデレラ】で現れた記憶喪失の少女、更紗れんふぁと共にセラフ級パラレイドのサマエルをも倒す統矢達。だが、激闘の中で徐々に謎が真実へと変わろうとしていた。

　次元転移に巻き込まれた統矢達が体験した、外の世界との時間のずれ。

　唯一人型で現れる一騎当千の敵、セラフ級から感じる操縦者の気配。

　そして……戦いの中で覚醒してゆく、統矢のDUSTER（ダスター）能力。

　激戦のさなか、統矢に芽生える千雪への恋心。それを千雪の中へも確かめた、その刹那……セラフ級パラレイド、メタトロンとの戦いが全てを奪ってゆく。

　全領域対応型駆逐殲滅兵装統合体（ぜんりょういきたいおうがたくちせんめつへいそうとうごうたい）【樹雷皇（じゅらいおう）】をも投入した統矢と人類同盟を嘲笑（あざわら）うように、戦火は誰からも等しく大事な人を奪ってゆく。そして、メタトロン殲滅（せんめつ）の貯めに放たれたGx反応弾（ジンキ・ニュークリア）の光は、その中へと千雪を連れ去った。

　千の雪となって舞い散る灰の中、統矢は知る。

　パラレイドの真実、そしてそれを追う御堂刹那（ミドウセツナ）達、呪われし子供……『リレイヤーズ』の真実を。

　千雪の喪失感から、統矢の心は死んでしまった。

　それははからずも、死の危険で発動するDUSTER能力が常時顕現（けんげん）し続けるという異常な事態を招く。淡々とパラレイドを屠（ほふ）るマシーンと化した統矢に、仲間達が身も心もさらけ出して痛みを分かち合おうとしてくれる。

　そんな中で、れんふぁの献身に甘えて過ごした夜。

　統矢が失ったように、れんふぁも再び失ったのだ。

　彼女がいた世界で恩師だった、千雪の死を二度も目撃したのである。

　それでも戦いは続く……凄腕の懲罰兵（ちょうばつへい）だけを集めた愚連隊（ぐれんたい）、ティアマット聯隊を引き連れ再び現れた美作総司三佐（ミマサカソウジさんさ）。彼が提唱する皇国陸海軍の垣根を超えた部隊運用により、統矢達はようやく組織だったパラレイドとの戦闘に集中する。

　新たな仲間、雨瀬雅姫（ウノセマサキ）も加わり、現れたセラフ級パラレイド、サハクィエルとの激戦が熱を帯びる。敵は超弩級（ちょうどきゅう）パラレイド、全長1,200の巨大戦艦……そして、地球を貫くビームの光は、その裏側の都市をも消滅させる。星をも穿（うが）つ力に対して、屈しかける統矢。

　そんな彼を、風が救った。

　それは、生きていた千雪と新型機【ディープスノー】の拳（こぶし）だった。

　人ならざる半身を得てまで、統矢の戦いを支えるために千雪は帰還を果たす。そして、サハクィエルが次の標的とするニューヨーク市を守る、決死の24時間が始まった。死闘のさなか、統矢が初めて直接目にする真の敵……未来からの侵略者を束ねるその姿は、自分と同じ。

　そう、パラレイドの正体は未来の摺木統矢が率いる地球人類なのだった。

　激戦の中、亡くして失いながらの、勝利。

　その虚しさの中からさえ、統矢は立ち上がる。

　再び戦いの時は迫り、明日を迎えるための前夜祭（イヴ）が始まる。

　――地球の長き夜、終わらぬ永久戦争（エンドレスウォー）の夜明けが、迫る！