第32話「厨二刀流剣術とか言わないで」
｢ムム！何ダト！｣
その刃に対して巨大霊体の顔が歪む。
｢でやああああ！｣
ファントムブースターを吹かして低めの跳躍、ボディを２度回転させて両刃剣をプロペラの回転の如く振り回す！
｢！！｣
ザジのオーヴァード・エッジの初撃に対して、巨大霊体の霊糸の布の防御が展開される。
だがその初撃の対応で使った巨大霊体の霊糸の布があっさり切り裂かれた！
｢アアアアア！貴様！ヨクモ！我ガ城壁ヲ！｣
巨大霊体の土偶ボディ周辺に霊糸の布が収束され、盾の様な形状になる。
(ビンゴ！布バリアが防御の為に集まりだした)
かつてねぱたの全力(フィニッシュキック)を止めたソレに対して、ザジの追撃が始める！
｢斬撃回天！｣
登り上がる様に回転しながら両刃を振り回すザジは竹トンボの様。
｢いいでザジ！ブッタぎりや！｣
飛び散る霊糸の布の破片！
一度に何枚の霊糸の布が切り裂かれた解らないが無数の霊糸が飛び散り散乱する！
｢回天十文字！｣
空中で横回転したザジは、剣を分割！
二刀流に戻って縦に回転し直して十文字に斬りつける！
｢フィニッシュ！｣
その後に少し溜めを行い、ザジが舞い踊る舞踊の締めの様に二刀を×の字に斬り降ろした！
この一連のザジの連撃で霊糸の布の盾はズタズタに斬り付けられ…
盾形状から布をほどくとボロボロと崩れ落ちる！
｢ヒイイアアアアア！！出会エ！者共！主ヲ守レ！｣
慌てて巨大霊体の口が開くと埴輪が現れる、が…
｢そこはリスキルやで！ファントム・インパクト！｣
ねぱたのジャンプパンチに出る間もなく砕かれていく。
｢あれ？｣
ねぱたは巨大霊体の口から生える埴輪を破壊した際に、巨大霊体そのものを殴り付ける事になったが…
(なんで？このボディで霊体殴っても意味ない筈やのに、妙なホコリを払った様な手応えは何なん？)
奇妙な違和感を覚える。
(姉さんも気がついた？)
間髪入れずザジの追撃が繰り出される、霊糸で繋いだ剣を再び合体させて両刃剣にすると…
｢ファントム・リ・エッジ！｣
勢いが薄れたオーヴァードエッジを回復させてから突撃。
｢サセヌワ！｣
巨大霊体の方も、防戦一方ではない！
布が大砲の様な形状になると土偶ボディの腕に武器として現れ、残っていた霊熱と熱せられた砂利を飛ばす！
さしずめショットガンのようで、ザジ達を近寄らせない様に連発している。
｢まだあんな技隠してたんやな！技のデパート見たいで感心するわ｣
ザジとねぱたはバリアでガードしながら、昇降機の在るビル模型を盾に隠れ様子を伺う。
｢ぐうっ…｣
｢ザジ！やっぱソレ辛いんちゃう？｣
ねぱたがザジの霊体のダメージを気にかける。
｢ボディの霊力を使わなければ実害は無いよ、だけどキャンパーの外では使えないな｣
ザジは大丈夫そうにしてはいるものの、霊体の揺らぎはかなりのものだ。
｢ソレよりも姉さん、俺が上がってきた昇降機に持ってきているモノが在るんだ。｣
ザジが場所を指す、昇降機ビルに何か在る。
｢なんやこれ？、ってなんやこのデカイ弾！あの時のロボットに付いてた銃の弾か？これ｣
｢使う時は反動に耐えられる様にして、凄いぶっ飛ぶからね｣
ザジがねぱたにチェインガンの弾を託すと、再攻撃の準備をする。
一方、エレベーターの方ではドクとユナが防衛にあたり奮戦していた。
エレベーター入口が破壊され、エレベーターシャフトがむき出しな状態である。
｢これは！エレベーターが下の階に降りてるじゃないか！誰かが動かしたのか？｣
埴輪よりも先回りに成功したドクとユナが被害を確認、内部のエレベーターケージ(かご)が無事と確認した。
｢動くんですか？｣
ユナは埴輪の様子を確認しながら背中合わせでドクに問う。
｢重りを繋ぐワイヤーが無事なら問題はない、死守するぞユナちゃん！｣
｢はい！｣
四分の一まで削れた顔付きの埴輪が号令を掛けると、他の埴輪が数体ならんで矢を放つ！
｢リ・フォートレス！｣
生き残っていたブロックの城壁がクレーンで運ばれユナ達の前に組上がる。
｢ソレが最後の城壁だ、もう後が無いぞ！｣
城壁が固定され、矢を受け止めると僅かに壊れる。
｢ワオン(援護します！)｣
犬ロボットのよしこがファントムショットで背後から強襲。
｢挟撃になったぞ！射撃で挟み込め！｣
ユナとドクが持てる射撃武器で応戦し、エレベーターを守る！
｢ギギギ！マダ落トセヌノカ！露払イヲクレテヤル！｣
｢！｣
その場にいたクルー全員の顔色が変わる！
巨大霊体の方から再び熱砂利を固めて吹き付ける砲撃が打ち出されると。
エレベーター周囲の防衛城壁が再び凪ぎ払われる！
｢ぐうう！何てことだ！もう防御に使うブロックが無いぞ！｣
巨大霊体の露払いが終えると、馬に乗った埴輪がエレベーターに駆け込んでエレベーターシャフトに入り込んだ！
｢糞！しまった！パルド！ラマー！キャンパー内部に侵入者！｣
ドクが叫ぶ！最悪を想定し、運転作業の二人に助けを呼ぶ！
だが！
ここでエレベーターの駆動音が聞こえてきた！
｢！｣
エレベーターケージが上がってきたのだ！
そして侵入した埴輪を乗せて天井で挟み込み砕く！
登り際にフルパワーで上がってきたらしい。
エレベーターに扉は無い、そしてケージに乗って上がってきたのは…
フォッカーのドローンだ！
｢おいおい！誰だよ！こんな無駄なパワーをエレベーターのモーターに与えた奴は、俺まで壊れるかと思ったぞ！｣
｢フォッカー！｣
全員が注目する、復帰したフォッカーにユナが涙ぐむ。
｢お帰りフォッカー(付属品)さん！いいタイミングですよ！｣
｢知らない内に俺の株価が暴落してる！(驚愕)｣
フォッカーはいつものドローンが切り離して無くなった為、予備の小型レーシングドローンでの出撃となった。
｢よしこ！合体だ(意味深)！｣
よしこは大口径ファントムショットを切り離して、カンチョウに譲ると。
ジャンプしてフォッカー(付属品)と合体！一人と一匹でフォッカー(完成品)にパワーアップした！
｢これで完全復活！俺の株価も最高値まで一気にいくワン！｣
｢意識引っ張られてる(ガビーン)！｣
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