第17話「侵入マシン、全ての始まり」
後にある程度の空中制御がファントムブースターで可能であることが判明するが、ユナ自体の霊力消耗が大きい事から使用は控える結果になった。
そして場所は作戦室に変わる。
「以上がユナちゃんの戦闘能力、結果報告やで」
カンチョウにねぱたが報告する、カンチョウはうんうんと頷いて空を仰ぎ見ると、ねぱたにこう返した。
「ねえ、ねぱた君、やっぱり私が一番個体での戦闘は役立たずかね?」
「せやで、カンチョウは伊達ではないで!ブロックでボディ造って出撃してすぐバラバラになってまうのがデフォルトや」
カンチョウは統制力に長けており、指南役相談役に真価を発揮しているが、いざ自分が戦うとなると出オチになるのである。
「だからホンマモンのピンチにこそ輝いてイケメンになるんや、それまで温存やで」
「それはキツいねえ、そういう日が無い事を願うよ」
「せやな、ウチらは先代クルーと違って安全に余生が送れる術が確立しとるからな」
ここで言う術、メインボディを使った擬似的なキャンパーのつくも神化と言う技術は今でこその延命措置であり。
本来の亡霊達は常に失われる霊力を補う為に霊力が溢れる場所を巡る必要がある、そしてそれは場の奪い合いでもある。
「さてと、ユナ君も戦える事を確認できたし、始めようとするかね」
カンチョウはそろそろ本題に入ろうとモニターに侵入してきた謎のロボットの画像データーを出してきた。
「そうそう、今回の侵入したエネミーは我々を察知するための斥候かもしれないのだよ」
「敵対存在って事なん?」
「我々以外の亡霊集落が近くに合ってね、似たような侵入マシンに手痛い攻撃を受けたって亡霊同士のSNSの書き込みにあったんだ」
フォロワーが実は亡霊だったみたいな恐ろしいジョークが生まれそうな話だが、彼ら亡霊はそれなりに数のある存在のようで今の時代らしく繋がりを持っているようだ。
「いずれにせよ、もう辺りも暗くなって来たし作戦準備を行おうか、みんなをレストルームに呼んでくれたまえ」
「はいよ」
ねぱたは全員に集合を促すとレストルームに全員集合した。
「ではラマー君、相手の装備の解析結果を頼むよ」
そう言うとラマーは画像データーを液晶モニターに写す、モニターはテーブルの様に寝かせて使っている。
「可動出来るメインカメラに赤外線装置と思われるパーツを確認、他にカメラらしきパーツがあるが暗視カメラでは無いようだ」
「他にも作業アームが2つあって片方は何か不明なパーツが枝分かれしている、他にも未確認なボックスパーツが多くて何が収納されてるのか見当が付かない」
軍事ロボットの様な外見でアームが付いている以外は小さな戦車である。
「熱感知センサーや最新のドローン機器類もありそうだね、我々には無意味だろうけど」
亡霊にサーモグラフィーは当然意味を辞さない、警戒するとすれば立体的に感知するソナーだろう、後ドローンをフォッカーが迎撃して落とすだけだ。
「音センサーは厳しいね、だるまさんが転んだが主体になりそうだ」
近付くのが亡霊とわかってるなら一番有りうる感知装置、当然察知されそうな息遣いも亡霊にはない。
ここにいる全員は亡霊である利点を最大限に使っているモノ達だ、この時点では謎の作業ロボットなど近付いて仕舞えばどうともなると見ているらしい。
「あの、黒服の人達はアプリで感知とかやってたんですけど」
ここで進言したのはユナである、陰陽師の末裔達が自分の札を感知するアプリを使っていた為気になっていた。
「うーんユナ君の言うアプリがこの作業ロボットに積んであったら一大事だけど、黒服達はかなり異質な組織体の様だからロボットの送り先とは関係がないんじゃないかな」
カンチョウの見識では敵対存在はどういう存在なのか想像がつくらしい。
「そりゃ関係ないだろ、あの鳥飛ばしてた奴は俺らみたいな亡霊を初めて見たみたいな感じだったし」
ザジの見解でしかないが黒服達は次の戦いが一番警戒する対称である。
「つまりは今回の侵入マシンは我々の存在を理解した、機械の玄人で霊体には素人であると言うことだね」
簡単に説明を入れたカンチョウは今回の作戦を立てる。
「では謎のロボット襲撃作戦を説明するよ」
カンチョウによる作戦の説明が入る。
「囮をねぱた君とザジ、ユナ君でやってもらう、相手の想定外な攻撃性を確認したら退避して構わない」
カンチョウの作戦説明にザジが反応する。
「最悪相手が自爆したりしても大丈夫だぜ!多分しないけど。」
冗談で言ったザジの一言、しかしすぐそのあとに…
突然!
遠くで激しい轟音が炸裂する!!
その轟音はキャンパーの停めてある施設を揺らせるくらいの爆発音である。
「うおおおお!なんだ?」
カンチョウは施設周辺の監視カメラの映像を切り替えようとあわてて機器を操作するが…
「監視カメラが何台かロストしている!故障を免れた映っているカメラはあるかね?」
モニターに映る有線カメラのシグナルを探る、ロボットが映っているカメラが見当たらない。
「不味いな、これは」
黙って見ていたフォッカーも急遽準備を始める。
観測用のドローンに素早く霊体のまま取り憑き急ぐ様はとても手慣れてる様だ。
「悠長に罠まで誘き寄せる作戦だったが、予想外の事故だ、ロボットの仕業なのかね?」
「こちらフォッカー、確認してくる」
フォッカーが飛び立つ。
爆発は豪快なモノで離れた近隣の街でも、キノコ雲が確認出来る位規模があった。
その日のニュースでこう放送される。
「本日未明、某市N区で大規模な火山性ガスによる爆発が発生し、近隣周辺に停電の被害が発生しました。なおこの爆発での死傷者の報告はありません」
別の放送局ではテロップで流れる程度のニュースになった。
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