Regrets - 未練
設樂理沙
第1話Regrets - 未練 加筆修正有
登場人物
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樋口眞奈 《ひぐちまな》 専門職 薬剤師 35才
松本眞奈 《旧姓-松本》
樋口瑛士 《ひぐちえいじ》 リーマン 37才
神崎 蓮 《かんざきれん》 -----僧侶 元 建築家 43才
寺の住職の妻 小夜 《さよ》 60才
未来の〇〇〇
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1.
妻ご乱心?
"知らなかった夫の顔1"
== 樋口瑛士の同僚(関根槙子) + 樋口瑛士 ==
私は今の会社に新卒で入社してからン十年勤めている独身で
所謂お局的存在なんだけど、煙たがられないように周りの若い女子社員には
気配りを忘れないし、口は堅いほう。
だけど先だっての3年に一度既婚者は配偶者や子供と参加してもよいと
言われている会社の慰安旅行での樋口瑛士の妻の言動は、明らかに常軌を
逸していたと思われ、それで口の堅い私だけど、つい樋口くんに尋ねてしまった。
「ね、あなた奥さんに何かした? それとも女性(ひと)に盗られることを
脅えるくらいあなたのことが好きなのかしら? あなたの奥さん。
どっちかよね?」
私は奥さんが彼を激しく憎んでるように思えた。
と言って、まさか本人にそんなことを面と向かって言えるはずもなく
意味不明でそれでいてちょっぴり過激ともとれる発言で彼を挑発して
みたのだった。
「藪から棒に何を言うかと思えば。どうしてそんなことを俺に聞くんだよ」
「あなたの奥さん旅先で若い女子社員に向かってすごいことを言ってた
からさぁ・・気になっちゃって、わたし」
「そういうのいつもの関根らしくないな」
「でしょ? 私もそう思うけど、いつもの冷静な私を突き動かすほどの発言
だったのよ」
「な、それでどうなんだよ、そのすごい俺の妻の発言を俺に聞かせたいの?」
とても奥さんがすごい発言をしたなんて信じられないとでも
言いたげで、樋口瑛士は私にそんなふうなセリフを放った。
「あなたに心当たりがあっても無くても、是非とも聞かせたいわよ。
たぶんあなた、ショック受けると思うけど何人もの人が聞いてたことを
当の本人である樋口くんが知らないっていうのもねぇ~、実は私何かぁ
この辺がモヤモヤしてて嫌なのよ」
・・
そう言って関根は自分の胸の辺りを苦し気に押さえて見せた。
俺に従順でどちらかというと大人しく控えめでLOVE.LOVEな妻が
一体全体どんな言葉を吐いたというのだ。
まるで物議を醸すような言動だったと言わんばかりだ。
くだらないジョークを本気にしているとか?とにかく関根は、妻の語った
話を聞かせてほしい、という言葉を俺に言わせたくてたまらないようだ。
大して聞きたいとも思わないが、この流れではそれで?と聞いてやるしか
あるまい。
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