夜明け

 朝はゆっくりやって来る

 夜明けの絶望と希望と虚無

 ひっくるめて現実という名の

 容赦ない営みが淡々と訪れ

 射し込む光を待ち侘びた人

 眩しさにカーテンを閉ざす人

 微睡まどろみの中へ逃げることも

 機械的に起き上がることも

 そこに意識はなく

 生きているという

 どうしようもない事実が

 反射するだけ

 何食わぬ顔で電車に乗り

 バスに乗り

 人混みを歩く

 揉まれて

 ぶつかって

 転んでも

 進むことしかできない雑踏

 振り返る隙もない

 朝が来ることを

 救いのようにとらえる歌

 明日が来ることを

 当たり前に歌うのを

 無責任だと省みるシンガー

 宇宙の法則より

 日の光より

 彼の誠実に希望を感じて

 また夜が明けてゆく

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