灰色魔女と始まりの夜空

1. 馳せる想い

 リースは、目の前にある鏡に映った己と見つめ合う。いつもと、変わらない。

 やる気のなさげな金色の瞳に、毛先に少し癖のある、白い髪。

 けれど、その瞳の裏には、強い意志と、大きな罪の色が隠れている。……まるで、瞳に仮面を張り付けているようだ。

 ――さあ今日も、この目に灰色の世界を映そう。いつの日か、その世界に別の色が映ることを夢見て――などという希望が湧かないくらいには、彼女の心はひん曲がっていた。

 


 それが、彼女が魔女になってから、百年経ってからの心境だった。

 ――ふいに、百年前の頃の、魔女になった頃のことを、――「彼女たち」と出会ったころを、つい思い出した。

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