第6話 入学
「君が、異世界から来たという者かね?」
「……はい」
翔太は校長室の中に招かれた。茶色のスーツを着た、少し太めで、厳格な面持ちの校長と向かい合わせに座る。
翔太の隣にはミアも座っていたが、この堅くて重い雰囲気に彼は緊張が抜けずにいた。
校長が机にやや身を乗り出す。
「ミア、彼に魔法使いの素質があると……?」
「はい。まだ魔法は荒いですが、確かにあります」
校長の眼差しがじっと翔太に向けられる。まるで、心の奥底までを品定めするような目。「本当は性根が腐っている」という本性が見透かされるのではないか、と翔太はドキドキする。
「うむ! 君の入学を認めよう!!」
「へ?」
急ににこやかな顔になった校長に翔太は戸惑った。そして、試験やら何やらをすっ飛ばして“入学”できることにも驚く。彼はつい変な声が出してしまった。
「なんだ? 嬉しくないのか」
「う、嬉しいですけど、その、試験とかされないんですか? このまま入っても良いんですか?」
「はっはっは!!」
校長はさっきよりも相好を崩した。翔太は、彼に最初の印象と違ってだいぶ親近感が湧いてきたが、まだかしこまった姿勢からは抜けきれない。
「大丈夫。ミアが保証する人材なら喜んで歓迎しよう! 彼女の目は頼りになるからな」
「いえ、そんな、もったいないお言葉……」
ミアが照れながら謙遜する。
「校長、一つ申し上げたいのが、彼の魔法は本当に強大な力を持っていまして……、それはあの第一闘技場の壁を壊すほどなのです」
「なんとな……!?」
校長はその情報を聞いて驚嘆する。
「ミア、君にこの子の教育係を任せても良いかね? 基礎から学ばせれば、きっと次の“OMT”に間に合える戦力になるかもしれん」
「そうですね……。分かりました、校長」
そんな校長とミアの会話を片耳に、翔太は入学用紙に個人情報を書き込んだ。入学できるかどうか不安だった翔太だが、これで彼も晴れて魔法学生。
「君の、オーガン第二魔法学校入学を許可する!!」
ドンッ!!
校長が高らかに声を上げ、翔太の入学用紙に許可証の印を捺した。
校長室を出た後、ミアは翔太を自習という部屋に連れていく。
「ミア、ここで何を……?」
「これから授業をする!」
「……へ?」
ミアは一丁前に眼鏡を掛け、ふんぞり返って教壇に立った。
「魔法使いの素質があるとは言ってもまだまだヒヨッコ! 今日はまだ半分しか終わっとらん! 午後からこの世界のこと、魔法のことをたっぷり教えてやろう!!」
ミアはノリノリである。
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