第71輪.海月雨


海月クラゲが空を覆い隠した


ふよりふよりと集まってきた中には、大きいのも小さいのもいる


ぼゆんぼゆんと音は聞こえないが、ぶつかったり重なったりしている


でろぉんと垂れ下がったたくさんの足は、今か今かとその時を待っている


私は海月クラゲたちを見上げるのをやめて青いビニール傘を開いた


その時、千々に千切れた足の欠片がぴちちちちちちちちッと降ってきた


ビニール越しに触れる彼らは自分たちが海月クラゲだったことなど忘れているに違いない


痛かっただろうか?


どしゃ降りの海月クラゲで傘が重たくなる前にくるくるくるっと回して払い落とした



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