東大彼女と中卒彼氏。
瀬野ハンナ
東大彼女、エッセイをはじめる。
寒さはどんどんしみてきて、つま先はかたく、じんじん凍てついて、慣れない冷気に身震いして、
でも、雪の夜は明るい。
思ったことを言いたい、言えない、おとなの論理は身勝手だって叫びたい、でも声は出ない。くだらない、白い息に溶かしてつぶやいたら、街路樹の細い枝から雪がこぼれるのが見えた。
東京の西から東まで渡り歩いた足はずっしりと重たくて、だけど100円玉1枚と10円玉2枚しか入っていない財布は飛んでいきそうなほど軽い。朝からアルバイトと就職活動で使い果たした頭は空っぽで、もうなーんにも考えられない。
東大だ高学歴だともてはやされても、わたしはなにも持ってない。お金も、地位も、名誉も。
さあ、なにを持とう。なにを生み出そう。なにを掴みに、なにを奪いに行こう。
――彼と一緒に。
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