キス魔の女
律子はOL。
最近、ふられてばかりである。それは仕方のない事なのだ。
顔を合わせた男がイケメンだと、何も考えずに、
「付き合って下さい」
と言ってしまう悪い癖があるから。
しかも、その癖は酒が入ると進化する。
いや、凶悪化すると言った方が正しい。
律子はアルコールで身体が満たされると、「キス魔」になってしまう。
「うーん、須坂くーん、キスしようよー」
それなりに可愛い顔の律子にそんな事を言われると始めは嬉しい。
しかし、あまりにしつこく、しかも強烈なキスなので、次第に男共は引き始めた。
「うーん、鍛冶部さーん、逃げないでよー」
係長まで犠牲者だ。
会合が大きくなると、部長クラスまで餌食になる。
「部長、ぶちょーっとキスしましょ?」
駄洒落が飛び出すようになると、もはや修羅場と同じだ。
「律子は男に飢えてるんでしょ?」
同僚の女子社員は最初は同情していたが、あまりにも酒乱な律子に、完全に呆れ返ってしまい、何も言葉をかけてくれない。
そして何よりも救い難いのは、加害者である律子の記憶が全くない事だ。
「もう律子先輩を呼ばない事にしましょうよ」
新入社員の須坂君が提案した。
「それは無理。律子は宴会部長だから」
女子社員の言葉に、須坂君は蒼ざめたのだった。
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