オトコに貢ぐ男

釈迦堂とんこ

第1章

第1話 僕は斉藤ヒデキ

 初めまして!

 僕の名前は斉藤ヒデキ

 

 1973年11月生まれ

 一途な星 さそり座の男!


 身長155㎝・体重58㎏

 足のサイズ23㎝のチビである。

 

 チビだから可愛いと思うかもしれないが、

とんでもない。

 小さい体の割りには、顔が広がって丸くてデカイ!

 目は、こめかみの辺りまで離れていて細くてつり目…。


 ある意味、一度見たら忘れられないくらいの悪人顔である。


 これから、疑いたくなるような僕の昭和から平成に時代が変わる体験談を語るのだが・・

 この話は、すべて実話であることを御了承いただきたい。


 まず、僕の家族構成からお話ししたいと思います。

 僕には二人の姉がいるのだが、早くに嫁いでしまって、平屋の貸家で母と二人で生活している。

 父は僕が、2歳の時アル中でこの世を去ってしまった。

 僕の父はひどい酒乱で、いつも酔っては母や姉達に暴力を振るっていた。

 しかし、そんな父ではあったが、

 唯一息子の僕に対しては優しくとても可愛がってくれたらしい…。

 父の記憶は全くないが、生きていてくれたら、僕の人生も変わっていたかもしれない。


 母は、父がいない分僕を甘やかし、ワガママで傲慢な性格に育てていった。

 幼稚園、小学校では弱い奴をとことん虐め、強い奴には物やお金を与え黙らせた。

 

 でも、中学生になると物やお金では誰も従ってくれず、僕のこんな性格が奏して、

今度は虐められる標的になってしまった。


 給食には、お約束のチョークの粉や消しゴムのグズが入っている。

 体操服がゴミ箱の中に捨ててあることは当たり前。

 ひどいときには、僕の机が運動場に置いてあり、それを取りに机を運ぼうとすると、

二階の窓から彫刻刀が降ってくる・・


 命懸けの作業だ。


 体育の時間は必ずプロレスの技をかけられ、気を失ったこともある。

 こんな毎日が三年間続き、勉強なんてまともに出来る訳がなく、僕の偏差値は誰でも入れる私立高校レベルの時代だった。


 お金もかかるし、進学するのは諦めることを選択した…というよりは、また、虐められることに恐怖を感じていたからだ。

 

 でも、そんな気持ちを母は許してくれず、


母「高校までは、どんなにお金がかかっても行きなさい。虐めくらいであんたの人生、棒に振っていいの!」


 今まで、一度も僕の決めたことに反対したことがなかった母が…

 僕は母の決めたとおり、KS私立男子高校へ進学することにした。

 しかし、少し期待をしていた高校生活は、いつもひとりぼっち…。

 なぜか僕はそのことに関して、まったく問題ではなかった。

 中学時代に虐めに対する免疫力が出来ていて、今となっては逆に一人が気楽だし、ひとり遊びほど楽しいことはない。

 

 しかし、その学校生活の中でも唯一、僕が苦手とすることは、修学旅行!

 あれは団体で行動し、おまけにグループ別に分かれて食事など寝泊まりを共にする。

 小・中学校の一泊二日の修学旅行とは違い、高校ともなると海外へ行くことはざらにあり、無論そうなると一週間と長い時間をみんなと一緒に、過ごすことになるのだ。


 虐められてる僕にとっては、最悪のイベントである。

 夜は、みんなから枕投げの攻撃を受け、なぜか旅行先でもパンを買いに行かされる。

 クラスの子から


「斉藤は小遣い五千円までって、先生言ってたぜ」と言われ、


 本当は三万円の小遣いなのに、僕は五千円しか持って行かず、嘘をつかれたことにムシャクシャして、ちょっと不気味なお土産屋を覗いたのが運のつき。

 高校生の僕には無縁である猿の文鎮を、五千円で買わされてしまう。

 韓国まで来て、何故ゆえに猿の文鎮なのか…。

 僕の小遣いは、二日目にして尽きてしまった。

 この頃の僕といえば、お金を貯めることが趣味で、毎朝、新聞配達のアルバイトをして学校へ通っていた。

 

 幸い高校生活は、死にたくなるほどの虐めはなく、無事に卒業することができ、車の免許も取得して小さな会社ではあったが、就職も決まった。

 

 貯金もそこそこ貯まり、念願の車(ファミリア)も購入し、静かで穏やかな日々を過ごしていた。

 僕は愛車のファミリアに乗ってドライブすることが楽しみで、どんなに遠くても色々な場所へ行き、一人思い出作りに励んでいた。

 

 新車で買って一年ちょっとで9万㎞。


 僕の半端じゃないドライブ好きは、判ってもらえただろうか…。


・・・・それから月日は流れて・・・

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