オブラート


オブラート





オブラートに言葉を包み込むことも飽きたので

鋭利な瞳で月すら射貫く

夜闇に渦巻く深遠すら刺し殺せずに

朝陽の彼方へ飛べるのかい?



人はただ足という名の翼だけを頼りに、這うしかないのさ。



誰かに指図されて踊るだけなら

電動仕掛けの自動人形にも劣るだろう?

へらへらした顔で

何を甘い事を言っているのさ?



人はただ足という名の翼だけを頼りに、這うしかないのさ。



優しさと甘さを勘違いしていないかい?

デザートならサハラの果てで

シュガーの城で 甘すぎた夢なら食いつくつれた

食べかすだらけで満腹の子供のツラなら 蹴飛ばすよ?



人はただ足という名の翼だけを頼りに、這うしかないのさ。



何処まで行っても何処にも無いと

探した果てには何も無いと

嘆いたふりした冒険者

3$で買った白紙地図で、何を探せるというの?



人はただ足という名の翼だけを頼りに、這うしかないのさ。



オブラートに言葉を包み込む事も飽きたので

血糊で鈍ったナイフが囁く痛覚欠如

一人で歩けないのなら 二人でも歩けるはずないよね?

自分の親指の傷の方が気になる人に 誰かの痛みを知るはずもなく



人はただ足という名の翼だけを頼りに、這うしかないのさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る